日本臨床細胞学会雑誌
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ヒト卵巣自家移植症例にみる腔上皮代謝について
佐川 秀逸椎名 美博山田 良隆一戸 喜兵衛
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1982 年 21 巻 2 号 p. 176-180

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抄録
広汎子宮全摘術後の放射線治療による卵巣機能廃絶防止のため, 40歳以下の婦人では卵巣自己移植術を行っているが, これらの移植卵巣の内分泌機能について膣上皮細胞像の変化より観察した. 乳腺下に移植された卵巣は主として術後3週ころより腫大と縮小の周期的変化を開始するが, BBTが著明に2相性を示す症例群と単相傾向の群がみられた.2相性群では, 排卵期から高温にかけて移植卵巣が腫大し, 約1週間前後維持し, その後自然に消退する.
卵巣縮小期におけるKPIおよびEIは低値であるが, 腫大期にはKPIおよびEIともに上昇を認めた. MIは腫大期および縮小期ともに中層細胞型を示しているが, 腫大期には表層細胞が増えて右方移動を示す傾向が明瞭にみられた。また血清中のLH, FSH, estradiolの検査から, これらはほぼ正常成熟婦人の, 月経周期レベルを変動していることが明らかとされた.
移植卵巣は長期間にわたり活発に活動して膣皺襞の外観は正常に維持され, 膣上皮代謝の周期性も, ほとんど正常に行われていることが観察された.
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