抄録
最近4年間に, 皮膚の腫瘤135例に対して穿刺細胞診が施行された. このうち癌の転移は43例であり, 41例に陽性の成績を得た.
原発巣の発見より先に, 皮膚の腫瘤の穿刺細胞診が行われた症例は9例であり, その内容は, 下咽頭癌3例, 腎癌2例, 肝癌2例, 原発不明2例であった. 腎癌1例を除く8例は細胞診陽性であった.
腎癌の2例および肝癌の2例について臨床経過を述べ, 陽性例については, 採取された細胞の形態について観察した. 陰性例の1例は, 採取された細胞数が少ないため判定できなかったものである。
皮膚転移巣を穿刺して得られた細胞は, 一般に重積性配列をとることが少なく散在性の傾向がみられるため, 上皮性か非上皮性かの判定がしばしば困難である。したがって採取された細胞をよく観察して, 特徴的所見を見出し, 原発巣の推定に役立たせる必要がある. そのためにはすべての臓器癌の剥離細胞像ならびに穿刺吸引細胞像に精通していなければならない.