皮膚および粘膜, その他から発生した悪性黒色腫25例の剥離細胞像を検索し, その特徴を求めた. この腫瘍には形態学的にかなり幅があるので, round, pleomorphicそしてfibrousの三型に分けて分析したところ以下の結論を得て, 従来のわれわれの提案した本腫瘍の特徴を再確認した.
1. メラニン色素が容易に剥離細胞に検出される例は, 20/25例であり, 5例の色素の少ないか, あるいは無い例が鑑別診断上間題となった.
2. この腫瘍細胞の非上皮様形態と, 類上皮様配列の混在するparadoxicalな形態を再確認したが, それはpleomorphic型の悪性黒色腫細胞に最も典型的にみられ, fibrous型細胞には乏しかった.
3. この腫瘍細胞のひとつの形態学的特徴である核内空胞は, 全体として10/25例に見い出され, とくに低あるいは無メラニン黒色腫の鑑別診断に役に立ち得ることがあることを確認した.