東京都養育院付属病院では, 健康寮, いわゆる老人ホームに入寮するもの全員に, 健康診断のひとつとして婦人科細胞診を実施しているが, 今回その成績検討を行った.
過去8年間の細胞診受診者は575名で, 平均年齢は72.3歳細胞診陽性は (疑陽性再検後陽性を含め) 9例 (1.6%) で, 細胞学的に全例扁平上皮癌を推定し, 病理組織診により確認された. 内訳は, 頸癌8例, 腟癌1例で, 頸癌のうち浸潤癌3例, 上皮内癌1例, 浸潤不明が4例であった. また全例初診時に, 細胞診が陽性であること以外は, 臨床的に悪性所見を指摘されたものはない.
症例数は少ないが, 対象群は日常生活者の老人に該当し, 老年者の婦人科細胞診の重要性が強調される.