抄録
臀部腫瘤を初発症状とし, 針生検吸引細胞診でM. F. H. と診断され, 根治手術後の組織診断が多形性脂肪肉腫であった65歳, 女性の症例について報告した. その細胞像は, (1) 大小の重積性集塊で, 一部 storiform like pattem をみる, (2) 細胞質は淡くレース状で, 多数の小空胞をみ, 一部印環細胞様細胞を散見, (3) 核は楕円形~不整形で, 7~35μ大と大小不同が強く, 大型になるほど核縁の不整切れ込みをみる, (4) 核クロマチンは増量し, 細顆粒状密で, ときに核小体をみる, (5) 2~5核の奇怪多核巨細胞を散見, であった. 以上の像は, M. F. H. に極めて類似し, 組織学的にも多形性脂肪肉腫とM. F. H. が考えられた. 電顕学的には, 観察したすべての細胞は0.5~1μ, 類円形脂肪滴を有した単核ないし多核型の脂肪細胞系細胞で構成され, M. F. H. の電顕像とは異なり, 多形性脂肪肉腫と診断した.