抄録
症例は43歳の女性で, 右前縦隔洞下部に原発した悪性線維性組織球腫が, 右胸腔に拡大し, 心嚢に浸潤し, また腹腔内に播種をきたし, 早期に死亡した.
胸水, 心嚢液, ならびに腹水に出現した腫瘍細胞と, 剖検時の腫瘍捺印標本の細胞像と組織像について報告する.
各体腔液中の細胞形態と捺印標本の比較観察を行った. 体腔液中には, 組織球様細胞が多Rく認められ, 末期になるにつれ, 細胞形態の比率の変化を認めた. 捺印標本では, 紡錘形の線維芽細胞様細胞を多く認めた.
組織球様細胞は, 核優勢の類円形で, 粗なクロマチンを持ち, 好塩基性の細胞質で, 空胞を持つものもある. 数個の核を持つ巨細胞や貪食像も, まれに認められた. 線維芽細胞様細胞は, 紡錘形の細胞質を持ち, 核優勢で粗な結節性クロマチンを有する.
組織像は, 定型的なstoriform patternを示す線維性の部と, 多核巨細胞を含む類円形, ないし紡錘形細胞からなるpleomorphicの部が共在した.