日本臨床細胞学会雑誌
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莢膜細胞腫の細胞所見
顆粒膜細胞腫との比較
堀 保彦早川 修藤村 保文高階 俊光工藤 隆一
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1984 年 23 巻 2 号 p. 153-158

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抄録
莢膜細胞腫の1例を報告するとともに, その細胞像と類似しているといわれる顆粒膜細胞腫の細胞所見と比較検討した.
莢膜細胞腫の出現様式はおもに孤立散在性であるのに対して, 顆粒膜細胞腫のそれは孤立散在性の他に, Call-Exner bodyに相当すると思われるロゼット状配列を呈したり, 重積性を示す集団の部位もみられる.このことは細胞像上, 莢膜細胞腫が非上皮性の性格を示しているが, 顆粒膜細胞腫は非上皮性とともに, 上皮性に類似する性格を有しているといえよう.さらに両者の細胞像を観察すると,
1) 莢膜細胞腫では葵膜細胞に類似した細胞と紡錘形線維状細胞の2種類の細胞型がみられる.
2) 顆粒膜細胞腫の核のなかには核溝あるいはくびれがあり, コーヒー豆, 腎臓形に類似しているものが散見される.
3) 莢膜細胞腫のクロマチンは細顆粒状であるのに対し, 顆粒膜細胞腫では微細顆粒状である.
4) 核小体は葵膜細胞腫では一般に目立たないが, 顆粒膜細胞腫では赤く目立つものも散見される.
このように葵膜細胞腫および顆粒膜細胞腫の細胞像にはそれぞれ特徴があり, 両者の鑑別診断は比較的可能と考えられる.
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