日本臨床細胞学会雑誌
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悪性線維性組織球腫 (malignant fibrous-histiocytoma) とその周辺の疾患の穿刺吸引細胞診上の問題点について
垣花 昌彦大久保 靖浦崎 政浩野原 キクエ福島 範子朝隈 容子山田 喬田中 昇池田 栄雄岡本 一也
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1985 年 24 巻 3 号 p. 426-439

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抄録

軟部組織の腫瘍の多くは多方向に分化する機能を持つ間葉から由来するので病理組織学的にも多彩な構造をとる腫瘍が多い.このことから細胞診上も種々の問題が生ずる.線維性・組織球性腫瘍に属する悪性線維性組織球腫の細胞診についても現在, 多くの難しさと問題点がある.そこで悪性線維性組織球腫を中心に隆起性皮膚線維肉腫, 線維性組織球腫, 線維肉腫, 偽肉腫様筋膜炎などの細胞像について比較検討を行った.
線維性組織球腫, 悪性線維性組織球腫の細胞像の基本的な構成は組織球様細胞, 線維芽細胞様細胞, 多核巨細胞, 泡沫細胞からなる.しかし, 組織型や穿刺部位によってはその構成は一様ではなく, ときには1種類ないし2種類の成分しか採取できないことがある.
また, 現在の診断基準による悪性線維性組織球腫の多くは穿刺吸引細胞像は異型が強いので細胞診断は比較的容易であるが, なかには細胞異型や組織異型で悪性度の決定ができない症例もみられるので, すべての症例を細胞診のみで診断できる段階ではない.臨床所見などを十分に参考にしなければならない.

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