日本臨床細胞学会雑誌
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経気管支針吸引生検細胞診により診断した気管支カルチノイド
大岩 孝司斉藤 博子浜口 欣一長嶺 一男春日 宏元山田 国夫
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1985 年 24 巻 3 号 p. 528-533

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抄録
気管支カルチノイドは悪性度の低い肺癌とされ, 周囲組織への破壊浸潤が少ないこと, 腫瘍細胞は小型で異型性に乏しいことより, 検体の採取の問題も含めてその細胞診断は必ずしも容易ではない.今回TBACにて診断をして切除し得た2例の気管支カルチノイドを経験したので, その細胞診断法を中心に報告した.本腫瘍に対して喀痰細胞診あるいはブラシ擦過法での細胞診断率は, 他の組織型の肺癌に比べて低率である.TBAC法は本腫瘍においても, 腫瘍細胞を多量に採取することが可能で, しかも検鏡に際しては気管支上皮などの夾雑物も少なく, 極めてすぐれた細胞診断法といえる.また本腫瘍の細胞所見の特徴としては,(1) 平面的な配列で結合は疎であること,(2) 細胞質はやや顆粒状を呈すること,(3) 核質は明るく, 核クロマチンは一部凝集を示すが, 核小体は不明瞭なことなどがあげられる.
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