日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸部condyloma acuminatumの細胞診にみられるgiant cellsについて
千綿 教夫杉下 匡石田 禮載藤井 雅彦田中 博志恩田 威一天神 美夫
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1985 年 24 巻 4 号 p. 632-637

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抄録
子宮癌集団検診において, 細胞診上に明瞭なkoilocytesがみられ, colposcopy下のpunch biopsyによって組織学的にcondyloma acuminatumが確認され, かつ細胞診上にgiant cellsが認められた11例について検討を行った.
condyloma acuminatumの細胞診上に出現するgiant cellsには, 核の異常は少なく細胞質のみ大型となった巨細胞 (細胞質巨細胞) と, 同時に核も大型となった巨細胞 (核巨細胞) とが存在した.
細胞質巨細胞では, 細胞質はeosinophilic, amphophilicに染色され, 単核, 2核, あるいは多核で, 表層細胞型の細胞が多く, 核巨細胞では, 細胞質はcyanophilicに染色され, 核は単核, 2核, 多核で大型となり異型を呈し, クロマチンは細顆粒状, 粗顆粒状, 均一変性状で, 中層細胞型あるいは労基底型の細胞が大部分であった.
dysplasiaを伴わないcondyloma acuminatum単独例では, 細胞質巨細胞のみ, あるいは異型の軽度な核巨細胞であったが, dysplasia moderate合併例では, 核巨細胞が著明となり核の異型も強くみられた.
酵素抗体法PAP染色を5例に行い, dysplasia moderate合併例1例中1例, dysplasia mild合併例3例中3例, condyloma acuminatum単独例3例中1例が陽性であった.
condyloma acuminatumの細胞診所見として, giant cellsは特異的な染色性, クロマチン構造を呈することもあり, 有力な補助的所見となりうるものと思われた.
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