日本臨床細胞学会雑誌
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Papillomavirus陽性異型上皮の細胞像
土岐 利彦及川 直弘田勢 亨上原 茂樹和田 裕一矢嶋 聰伊東 和枝東岩井 久伊藤 圭子遠藤 のり子
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1985 年 24 巻 4 号 p. 638-642

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抄録
子宮頸癌検診で発見された異型上皮のなかで, 免疫ペルオキシダーゼ法によって, 組織切片中にpapillomavirus antigenの証明された症例の細胞像を検討した.
対象は, HPV陽性異型上皮80例で, 初回スクリーニング時のパパニコロ染色標本を検索した. HPV感染に特徴的な, koilocyte, dyskeratocyte, condylomatous parabasal cellの3種類の細胞の出現を中心に検討を加え, 以下の結果を得た.
1) 3種の細胞の出現頻度は, koilocyte46例 (58%), dyskeratocyte29例 (36%), condylornatousparabasal cell56例 (70%) であった. 各細胞の出現パターンに, 一定の傾向は認められなかった.
2) 出現細胞によって各症例を分類すると,(a) ほとんどコンジローマ性細胞,(b) コンジローマ性細胞優位で異型上皮細胞混在,(c) 異型上皮細胞優位でコンジローマ性細胞混在, の3群に大別され,(a)-(c) の症例数は, ほぼ同じ割合であった.
3) 2核細胞は50例 (63%) に認められた.
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