1987 年 26 巻 4 号 p. 559-565
mild dysplasiaを合併せる子宮頸部human papillomavirus (HPV) 感染症9例について, 経過観察中の細胞診所見の推移を検討した.
1. koilocyteは, 合併症なき子宮頸部HPV感染症症例と同様に, 多くの場合出現と消失を繰り返した.
2. mild dysplasia合併時に, それまでの経過中の細胞診で特徴的に認められていた所見上に核の異型が出現したのは, 5/9例 (55.6%) であった.
3. 6/9例 (66.7%) において, mild dysplasia発症時に, それまでに認められていたHPV感染症細胞診所見の全部あるいは一部が増強されて出現した.
4. 多くの症例 (8/9例, 88.9%) でimmature metaplastic cell typeの小型の細胞に, 集中してあるいは表層型, 中層型核異常細胞とともに, 核の異型が出現した.