日本臨床細胞学会雑誌
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超音波検査によって発見された腎腫瘤の穿刺吸引細胞診
小俣 好作望月 敬司千野 正彦伊東 裕也石川 美香田中 昇
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1988 年 27 巻 1 号 p. 51-56

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抄録

48,120人の成人病検診受検者のうち, 超音波検査上腎腫瘤状陰影が指摘された21人 (0.044%) に穿刺細胞診が施行され, 5人 (0.010%) の腎組胞癌患者が発見された. また, 外来および紹介患者で腎腫瘤の疑われた36人に穿刺細胞診が行われ, そのうち5人が術後に腎細胞癌と診断された. これら10例の腎細胞癌手術例の術前穿刺細胞診断は, 9例が陽性, 1例が誤陰性であった. 同成人病検診において, 穿刺細胞診により2例, 術後の組織診により1例の合計3例 (0.006%) の腎血管筋脂肪腫が発見された.
平滑筋組胞はときに異型な裸核状を呈し, 塗抹細胞が少ない場合には, 腎血管筋脂肪腫と淡明型腎細胞癌との鑑別が問題となったが, 注意深く検鏡すれば, 腎細胞癌の術前細胞診断は十分に可能であると思われた.

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