日本臨床細胞学会雑誌
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膀胱癌肉腫の1例
その剥離細胞像と病理組織学的背景
藤本 恭士岡本 重禮永田 幹男蛇沢 晶斎木 茂樹伊藤 定子山田 喬
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1989 年 28 巻 6 号 p. 930-936

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抄録

膀胱に低分化型移行上皮癌と, 一部に横紋筋への分化を示す肉腫が混在して発生したまれな1例を経験した.
患者の尿中には低分化な異型細胞が発見されたが, 変性が強く術前に悪性の異型細胞を見出したが組織像の推定はできなかった. 術後切除標本を詳細に調べたところ, 大型な内腔へ隆起した腫瘍が2個あり, その多くは肉腫組織により占められており, 移行上皮癌は小部分であった.
術後細胞像を再検討したところ, 異型細胞には大小2種類あり, 大型の紡錘型ないし不整形の細胞と, 小型円形細胞があった. 前者は, 横紋筋肉腫由来であり, 後者は, 低分化な移行上皮癌と横紋筋芽細胞であると推定されたが, 両者を剥離細胞像より区別することは困難であった.

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