抄録
子宮内膜癌, 子宮内膜増殖症, 正常子宮内膜の細胞診による鑑別を客観化する目的で, 細胞診標本の数量的検討を行った. 対象は組織検査で確定診断された内膜癌 (G1) 19例, 内膜増殖症 (腺腫性増殖症) 10例, 正常内膜10例 (増殖期5例, 分泌期5例) であった. 内膜細胞の採取はエンドサイトを用いた. 内膜癌の核径と核間距離の変動係数は大であり, 正常内膜では小であった. 一方, 内膜増殖症では核間距離の変動係数は, 核径のそれに比べて大であった. また, 内膜癌では, 核小体の増加, 大型核小体の存在, 総細胞集塊数の増加, 細胞集塊最外層核の突出, 3層以上の細胞重積, 出血性背景がみられること, 正常内膜細胞の混在頻度が少ないことが特徴的であった. 以上のことから, 子宮内膜細胞診における数量的検討は有意義であることが示唆された.