日本臨床細胞学会雑誌
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内膜細胞診における腺腫性増殖症およびG1腺癌の判定基準について (第II報)
細胞集塊の構造異常を中心に
石井 保吉藤井 雅彦佐久間 市朗桐谷 寿子小宮山 京子若林 富枝杉下 匡小田 瑞恵大村 峰夫
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1991 年 30 巻 6 号 p. 1043-1049

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抄録

内膜細胞診における腺腫性増殖症と高分化型体内膜腺癌 (G1腺癌) の質的判定基準を設定するため, 腺腫性増殖症55検体, G1腺癌55検体, および正常体内膜40検体を用い,(1) 乳頭状・樹枝状細胞集塊の出現率および出現個数,(2) 樹枝状集塊中にみられるstromal Aの束の層数およびその分岐について検討し, 以下の結果を得た.
1) 乳頭状細胞集塊は腺腫性増殖症, G1腺癌ともに全検体に認められ, 1検体平均の出現個数はそれぞれ77.1個, 141.5個であった.樹枝状細胞集塊は腺腫性増殖症55検体中8検体, G1腺癌55検体中48検体に認められ, 平均出現個数はそれぞれ0.2個, 11.6個であった.正常体内膜においては, 乳頭状集塊は40検体中14検体に平均1.1個みられたが, 樹枝状集塊は1検体にも認められなかった.
3) stromal Aの一次分岐は, 腺腫性増殖症では1検体平均0.1ヵ所にみられたのみで, 二次以降の分岐は認められなかった。一方, G1腺癌では一次分岐は平均5.0ヵ所に認められ, 二次以降の分岐も平均1.1ヵ所に認められた.
以上, 内膜細胞診においては乳頭状・樹枝状集塊の有無, 集塊内のstromal Aの観察が重要であることが示唆された.

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