日本臨床細胞学会雑誌
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鋭匙細胞診にてサルコイドーシスをつよく疑いえた症例
蛇沢 晶佐藤 良重吉田 克己守部 政二林 光雄斎藤 陽久小室 康男斎木 茂樹山中 晃
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1991 年 30 巻 6 号 p. 1120-1123

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抄録

胸部X線上で結節性陰影および両側肺門リンパ節腫脹を呈し, 鋭匙細胞診所見からサルコイドーシス (以下, サ症) がつよく示唆され, ほかの検査所見から確診しえた症例を報告する.
症例は55歳女性.検診にて胸部異常陰影を指摘され旭中央病院受診.両肺に多発性異常陰影があり, 鋭匙細胞診・経気管支肺生検 (以下TBLB) を行った.鋭匙細胞診では, 類上皮細胞の集塊が多数観察され, 多核巨細胞もわずかながらみられた.壊死背景をまったく欠き, 異物・真菌などもみられなかったことから, 細胞診の段階でサ症をつよく疑った.TBLBで気管支壁内に非乾酪壊死性類上皮細胞性肉芽種がみられた.以上の所見およびほかの検査所見からサ症と確診した.
剥離細胞診はサ症の診断にほぼ無力であるが, 直接採取法による細胞診は結節性病変をともなうサ症診断に有力な手段になりうることが確認された.

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