日本臨床細胞学会雑誌
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乳癌細胞の特性に関する検討
核DNA量解析を中心として
阿倉 薫畠中 光恵向井 みどり坂井 雅英綾田 昌弘岡本 茂古川 順康弥生 恵司
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1995 年 34 巻 1 号 p. 31-36

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抄録
原発性乳癌119例について, 核DNA量 (DNA index=DI) と癌細胞の核の大きさ, 核の異型度, 細胞診の判定, リンパ節転移, t因子との関連性について検討を行った. DIの測定は新鮮摘出腫瘍を用い, 末梢リンパ節をploidy standardにした. その結果, hypoploid (DI<1) が6例 (5%), diploid (DI=1) が39例 (32.8%), aneuploid (DI>1) が62例 (52.1%), multiploidが12例 (10.1%) であった. 術前穿刺吸引細胞診標本 (Pap. 染色) から癌細胞50個の長径を計測し平均を求めた, 最小は6.3μm, 最大は13.9μmで2倍以上の差が認められた. 核異型が軽度な症例は12例, 中等度は44例, 高度は51例であった. DIと比較してみると軽度異型はdiploidが多く, 異型が高度になるにしたがってaneuploidが増加した.
術前の細胞診判定はpositiveが107例, suspiciousが10例, negativeが2例であった. 悪性と判定できなかった12例のうち11例はdiploidであった. 乳癌細胞の核の大きさとDIは正の相関がみられ, DIが大きくなるにつれて核は大きく, 異型も強くなり細胞診の判定は容易であった. しかしhypoploid (DI<1) やdiploid (DI=1) の癌細胞は大部分が小型で異型に乏しく, 細胞診で正確に判定できない症例が多かったが, 倍率1,000倍で詳しく観察することによって正診できる症例が増すと思われた. リンパ節転移はhypoploid (DI<1) とdiploid (DI=1) は少なく, aneuploidとmultiploidは多く, 有意差が認められた (p<0.05). DIとt因子については有意差は認められなかった.
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