子宮頸部腺癌75例のPapanicolaou標本を再鏡検し, 細胞学的所見を検討した。また, そのうちの25例に対してmorphometryを施行して客観的に観察 (核の大きさ・丸さ・不整, 核小体径・数・不整) し, 頸部腺癌各組織型の鑑別を試みた. 25例の内訳は, 内頸部型腺癌12例 (高・中分化型各5例, 低分化型2例), 類内膜腺癌5例, 悪性腺腫4例, 上皮内腺癌4例であった. morphometryの対照として, 良性病変20例の正常頸管腺細胞 (卵胞前期・後期, 黄体前期・後期各5例) と比較検討した. morphometryの結果, 核の丸さより頸部腺癌群と正常頸管腺細胞は判別可能であった (p<0.05). また, 内頸部型腺癌の各分化型の判別はやや難しいものの, 内頸部型腺癌と他の組織型の頸部腺癌との鑑別は可能と思われた. これらに一般的細胞診所見を加味すれば, 頸部腺癌における各組織型の細胞診による鑑捌診断の精度はより高くなるものと考えられた.