肺芽細胞腫の1例を経験したので報告する. 症例は47歳, 男性. 健康診断にて右上肺野に径3cm大の腫瘤陰影を指摘された. 術前に行われた喀痰細胞診, 気管支擦過細胞診ではともにclassIであり, 確定診断は得られなかったが, 画像上, 増大傾向がみられ悪性腫瘍が疑われたため試験開胸となった. 術中に施行された穿刺吸引細胞診では高分化型腺癌が疑われ, 右肺上葉切除術が行われた. 細胞像は平面的配列をする細胞密度の高い細胞集塊として出現し, 集塊内には極性の乱れの少ない腺腔様配列が認められた. 組織学的には胎児肺類似の組織像で, 一部軟骨成分が認められたものの, 肉腫様の異型はみられず, 肉腫成分を欠いた肺芽細胞腫と診断した.