抄録
目的: 卵巣癌診断における増淵式内膜吸引細胞診 (内膜細胞診) の有用性を検討した.
方法: 卵巣癌118症例につき内膜細胞診の検討を行った.
成績: 内膜細胞診陽性例は28例であり陽性率は23.7%であった.臨床進行期が上がるにつれ陽性率が上昇した.組織型別には漿液性, 明細胞腺癌では陽性率が高く (30.0%, 38.5%) 粘液性腺癌では低かった (4.8%).内膜細胞診陽性例のうち13例 (46.4%) が子宮頸部細胞診 (頸部細胞診) 陽性であった.腹腔内細胞診陽性例は79例であり, そのうち内膜細胞診・頸部細胞診の陽性率は35.4%, 16.5%であった.内膜細胞診・頸部細胞診陽性例は, 全例腹腔内細胞診陽性例であった.内膜細胞診陽性率と腹水量との関係は見出せなかった.内膜細胞診陽性例28例中27例においては子宮外由来の癌の推定診断が可能であった.同時にエンドサイト法を施行し得た卵巣癌4例のうち2例に陽性例を認めた.当院で正常大卵巣癌と診断された5例について検討すると内膜細胞診が診断の大きなきっかけとなっていた.
結論: 内膜細胞診は正常大卵巣癌を含む卵巣癌診断における有用なスクリーニング検査と考えられた.