日本臨床細胞学会雑誌
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著しい腺様化生とアポトーシス様所見を示した移行上皮癌の1例
大谷 博金城 満鷺山 和幸濱野 克彦森 致高島 扶貴子
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2000 年 39 巻 3 号 p. 188-193

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抄録
背景: 膀胱および右腎孟原発の著明な腺様化生とapoptosis様所見を示すまれな移行上皮癌の1例を報告し, その細胞像および病理組織像を紹介するとともにそれらの意義について考察した.
症例: 患者は71歳, 男性. 主訴は肉眼的血尿, 自然尿細胞診はclass IIIbであった. 膀胱鏡では, 膀胱左側壁に径1~2cm大の非乳頭状隆起性腫瘍が認められ, その内視鏡的切除 (TURBt) 標本では高異型度の移行上皮癌の中に酸性粘液を持つ細胞質内小管腔が多数認められた. さらに, 右腎腫瘍が発見され, 腎尿管全摘除術が行われた. 摘出腎腎孟にはその下半分を占める非乳頭状隆起性腫瘍がみられ, 組織学的には膀胱腫瘍と類似していた. 両腫瘍ともapoptosis様所見が粘液空胞の分布に一致して高頻度に観察された. 術後, 化学療法が施行されたが, 発症から約9ヵ月後に死亡した. 尿中剥離細胞の形態的特徴は, 1) 平滑な核縁, 2) 胞体内粘液空胞の存在, 3) 核偏在性であり, 通常の移行上皮癌の細胞形態像とは異なっていた.
結論: 本例のapoptosisを含む形態像と増殖活性, および急速に致死的となった臨床経過を考慮して, 腺様化生を示す移行上皮癌の臨床病理学的意義を検討した.
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