抄録
背景:肺胞蛋白症は肺胞腔内にPAS陽性の燐脂質を含んだ糖蛋白が充満するまれな疾患である.今回, われわれは, 気管支肺胞洗浄液 (BAL液) の細胞診および電顕的観察によって肺胞蛋白症と診断された1例を経験したので報告する.
症例:症例は呼吸苦を主訴とする45歳の女性で, 胸部X線上両側肺下葉に異常陰影が認められた.気管支肺胞洗浄が施行され, 乳白色に混濁した液が回収された.沈渣は, 細胞学的に, 微細穎粒状物質を背景にPAS陽性で直径が20~100μmの無細胞性i類円形物質と組織球が散見された.電顕的観察では特徴的なオスミウム好染の同心円状層状体が認められた.肺胞蛋白症においてCEAの高値を示すものがあることは知られているが, 本症例でも血中およびBAL液中のCEAの上昇を認めた.さらに, 血中CEA値は洗浄後に減少を示した.CEAは沈渣の免疫染色では組織球と背景の穎粒状物質に陽性を示したが, 類円形物質は陰性であった.
結論:類円形物質のCEA陰性は, 多量の濃縮したPAS陽性物質に被覆されて抗CEA抗体との反応が阻害されたためではないかと推測された.