日本臨床細胞学会雑誌
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髄液細胞診で診断し得た脳軟膜原発悪性黒色腫の1例
堀越 美枝子石原 力伴 聡田村 勝吉田 孝友中里 洋一城下 尚
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2000 年 39 巻 5 号 p. 359-363

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抄録
背景:髄液細胞診で診断し得た脳軟膜原発悪性黒色腫の1例を報告する.
症例:20歳, 男性. 1997年7月頃より肩こり, 頭重感出現.1998年1月頃よりそれら症状が増悪, 時に嘔吐, 嘔気があり他院にて頭部MRLCT検査など施行したが異常はみつからなかった. その後症状が悪化したため当院に精査加療目的にて入院となった. 初回の髄液細胞診検査ではN/Cが高く, 核小体の腫大した異型細胞が孤立散在性に認められ, melanin顆粒を含む細胞は気付かれなかった. 悪性リンパ腫の疑いにて免疫細胞化学的検索を施行したが, 確定診断には至らなかった.髄液細胞診の再検査では孤立散在性の異型細胞に加え, シート状のゆるい結合をもつ細胞集塊が認められた. 細胞質内に茶褐色穎粒を有する異型細胞も認められ, melanin産生性の腫瘍が疑われた. それらの細胞はDopa反応, Fontana-Masson染色に陽性を示し, 免疫細胞化学的検査ではS-100蛋白, HMB-45に強陽性を示したことより悪性黒色腫と診断された.
結論:悪性黒色腫の診断はいずれの部位においても, melanin色素に気付くかどうかが正確な診断の入り口であるが, 髄液細胞診では検体量が一般に少量で, 出現細胞が少ないことが多いので, ことのほか注意深い観察を行うことが必要である. また, melanin穎粒であるか否かを細胞化学的あるいは免疫細胞化学的に証明することも重要である.
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