日本臨床細胞学会雑誌
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子宮内膜細胞診診断精度の検討
上坊 敏子佐藤 倫也金井 督之今井 愛蔵本 博行大野 英治
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2000 年 39 巻 5 号 p. 381-388

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抄録

目的:北里大学病院では, 細胞異型のみならず構造異型を重視して内膜細胞診の判定を行ってきた.そこでわれわれの判定基準に従って細胞診断を施行した症例を対象に, 体癌症例の細胞診成績, クラスIII以上と判定した症例の組織所見, 内膜細胞診判定基準に関して検討した.
対象・方法:1988年から1997年に治療した体癌297例および複雑型子宮内膜異型増殖症22例と, 同期間中に内膜細胞診でクラスIII以上と診断された1,955例である.細胞はエンドサイトで採取し, スライドグラスに直接塗抹したものを用いた.
成績:体癌, 複雑型異型増殖症における偽陰性率は各3.4%, 18.2%であった.体癌の組織型別の偽陰性率は, G1, G2類内膜腺癌, 癌肉腫でそれぞれ4.7%, 3.7%, 8.3%で, この他の組織型では偽陰性症例を経験しなかった.G1類内膜腺癌では筋層浸潤の深さにかかわらず偽陰性症例を認めた.クラスIII以上の1,324例では, 内膜細胞診の前後3ヵ月以内に組織診がなされていた.クラスIIIからは241例の内膜増殖症と41例の体癌が, クラスIV, Vからは各6例, 266例が発見された.
結論:内膜細胞診の判定では, 構造異型に着目することが重要である.

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