日本臨床細胞学会雑誌
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胸水中にCryptococcus neoformansを検出した肺クリプトコッカス症の1例
小野 幸子竿尾 光祐佐々木 真紀子谷本 博利池内 清美塩岡 忠夫中野 正行三木 洋
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2000 年 39 巻 6 号 p. 465-467

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抄録

背景: 近年, 肺クリプトコッカス症は検診制度の普及に伴い, 発見の機会が増加しつつある.今回われわれは, 胸水細胞診で肺クリプトコッカス症と診断しえた症例を経験した.
症例: 症例は67歳男性, 糖尿病性腎不全のため, 人工透析を導入していた.導入半年後に37度台の発熱が持続し, 立位単純X線撮影で左下肺野に2個の腫瘤状陰影とともに大量の胸水貯留を認めた.
同部に挿入されたドレーンより採取された胸水の細胞診検査で, Cryptococcus neoformansが確認され肺クリプトコッカス症と診断した.なお, 入院中の培養検査では一度も検出されず, 細胞診検査が本症例の診断上有用であった.
結論: 近年AIDSの増加や移植医療の増加などに伴い, 免疫不全状態での真菌感染症への対応が重要性を増すと推定される.胸水を合併した肺クリプトコッカス症においては, 本症例の様に培養検査のみでは診断が困難な場合もあり, 細胞診検査が有用と考えられる.

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