日本臨床細胞学会雑誌
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39 巻, 6 号
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  • 上皮内癌および平滑筋層内初期浸潤癌の比較
    赤松 節, 姫路 由香理, 松田 真由美, 長澤 優子, 山田 美弥子, 板垣 由香理, 本間 慶一
    2000 年 39 巻 6 号 p. 423-428
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的: 喀痰標本における肺門部早期扁平上皮癌由来の細胞像を検索し, 病巣進展による出現様式の違いを検討する.
    方法: 摘出組織により上皮内癌および癌浸潤が平滑筋層内に留まっていることが確認された症例の, 蓄疾標本上に出現していた異型扁平上皮細胞を, 細胞質の染色性, 細胞径, 細胞形状, 核数, N/C, 集塊状況などの細胞学的因子について計測し, カイ二乗検定による有意差を検討した.
    成績: ライトグリーン好性細胞の出現率では上皮内癌が有意に高く (P<0.05), 上皮内癌病巣の角化傾向の弱さが示唆された.平滑筋層内初期浸潤癌では奇形細胞の出現率が有意に高く (P<0.001), 病巣の拡大によって癌細胞にvariationが現れることが示唆された.また, 浸潤癌の集塊状細胞群はすべて小集塊状に出現し, 細胞接着性の低下が認められた.いずれの症例においても単在性細胞の80%以上はオレンジG・エオジン好性細胞で占められ, そのうち60%以上が円形細胞であった.また, 細胞径では30μmが最も多く, 30μmまでの小型細胞が60%以上であった.
    結論: 喀痰中に出現する早期癌細胞は, 異型性は弱いが出現様式の詳細な観察で病巣進展の推計は可能である.
  • 久山 佳代, 杉浦 里恵, 松本 敬, 山本 浩嗣
    2000 年 39 巻 6 号 p. 429-436
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的および対象: 口腔白板症40例および口腔扁平苔癬12例の口腔剥離細胞診所見を, 臨床病型分類, 組織学的異形成および画像解析による結果と併せて比較検討したので報告する.
    結果: 口腔白板症の細胞診の結果はClass I 15例, II 13例, III 11例, IV 1例であった.扁平苔癬は, Class I 6例, II 5例, III 1例であった.口腔白板症におけるClass分類と組織学的異形成との関係は, Class I (異形成なし80%, 軽度20%), Class II (異形成なし75%, 軽度17%, 中等度8%), Class III (異形成なし42%, 軽度16%, 中等度42%), Class IV (中等度100%) であり, 相関がみられた.
    結論: 口腔白板症と扁平苔癬について光顕的観察による細胞学的鑑別点は見出されなかった.しかし画像解析の結果, 口腔白板症は光輝性, N/C比, ケラトピアリン穎粒数および核画積が有意に高かった.さらに口腔白板症について細胞学的異型性の有無で比較した結果, 異型性を有する口腔白板症は細胞質の光輝性, N/C比, ケラトピアリン顆粒数およびグロマチン量が増大している傾向がみられた.
  • 大崎 博之, 岸本 修次, 高田 多津男, 中村 宗夫
    2000 年 39 巻 6 号 p. 437-444
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    目的: 尿細胞診に出現する尿細管上皮細胞の細胞学的特徴を認識することを目的とした.
    方法: 1999年1月から1999年10月の問に提出された手術切除材料10例の腎臓組織標本・腎臓擦過細胞診と, 尿細胞診30例を用いた.これら腎臓組織標本のHematoxylin-Eosin染色, 免疫・糖組織化学と腎臓擦過細胞診, 尿細胞診のPapanicolaou染色, 免疫・糖細胞化学とをそれぞれ対比させ, 尿細管上皮細胞の細胞学的検討を行った.
    成績: 尿細胞診に出現する尿細管上皮細胞を近位型 (I型) と非近位型 (IIa・IIb型) に分類することが出来た.近位型 (I型) 尿細管上皮細胞は長径10~40μmで類円形や鋸歯状, 円柱状などさまざまな形態を示し, 細胞質は厚く粗穎粒状であった.また核は偏在性でN/C比は小であり, しばしば無核のものも認めた.非近位型 (IIa・IIb型) 尿細管上皮細胞は長径10~25μmで類円形または立方形であり, 細胞質は細穎粒状や均質, 泡沫状を呈した.また核は偏在性または中心性でN/C比は近位型 (I型) 尿細管上皮細胞に比し大であった.
    結論: 今回の検討で尿細胞診に出現する尿細管上皮細胞を近位型 (I型) すなわち近位尿細管上皮細胞と, 非近位型 (IIa・IIb型) すなわち遠位尿細管上皮・集合細管・集合管細胞に分類することが出来た.
  • 岡村 宏, 渋田 秀美, 光野 彩子, 亀井 敏昭, 佐久間 暢夫, 石原 得博, 山下 吉美, 佐藤 正和, 村上 一郎
    2000 年 39 巻 6 号 p. 445-452
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的: AgNORs染色を体腔液細胞診に応用し, 腺癌, 悪性中皮腫および反応性中皮の比較検討を行った.
    方法: 腺癌44例, 悪性中皮腫10例, 反応性中皮45例の体腔液細胞診標本を用い, one-step法にてAgNORs染色を施行した.核1個あたりのAgNORs平均個数 (mAgNOR) と一核あたり2個以上, 3個以上, 4個以上, 5個以上のAgNORsを有する細胞の対象細胞に対する割合 (%)(pAgNOR≧2, pAgNOR≧3, pAgNOR≧4, pAgNOR≧5) を算出した.
    成績: mAgNOR (平均値±標準偏差) は腺癌が4.08±0.71, 悪性中皮腫が2.59±0.59, 反応性中皮が2.34±0.30であり, 腺癌は, 悪性中皮腫および反応性中皮に比し有意に高値を示した (p<0.001).pAgNOR≧5 (平均値±標準偏差) は, 腺癌が34.6±17.1%, 悪性中皮腫が5.9±7.5%, 反応性中皮が3.6±3.2%であり, 腺癌は, 悪性中皮腫および反応性中皮に比し有意に高値を示した (p<0.001).悪性中皮腫と反応性中皮の間ではいずれの指標においても有意差を認めなかった.
    結論: 体腔液細胞診においてAgNORs染色は腺癌と悪性中皮腫, 腺癌と反応性中皮の鑑別に有用である.
  • 鹿島 健司, 堀内 啓, 瀬田 章, 宇於崎 宏, 倉田 厚, 高澤 豊, 柴原 純二, 北川 洋, 竹内 賢吾, 石田 剛
    2000 年 39 巻 6 号 p. 453-458
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的および方法:骨巨細胞腫の細胞像の特徴やバリエーションを明らかにするため, 病理組織学的に骨巨細胞腫 (GCT) と診断された11例につき捺印細胞診または穿刺吸引細胞診を施行し, 細胞学的所見および組織学的所見を比較検討した.
    結果: GCTの細胞像では, 破骨細胞様多核巨細胞および単核細胞が出現しており, 組織像をよく反映していた.細胞学的には単核細胞はしばしばクラスターを形成していた.細胞質は短紡錘形~多稜形であり, 細胞質の先端が突起状になっているものが目立ち, 核は類円形で核膜は平滑であった.クロマチンは微細顆粒状で均等に分布し, 小型の核小体が1~2個みられるものが混在していた.
    結論: これらの細胞学的特徴は他の破骨細胞様多核巨細胞の出現を伴う骨腫瘍との鑑別上, 有用な所見と思われる.再発や肺転移の有無を含め, 腫瘍細胞の特徴に関しては症例による差は見いだせなかったが, 二次性の変化を反映して壊死・ヘモジデリン沈着・炎症細胞浸潤などの多彩な像を示す症例も認められ, 鑑別診断時に留意する必要があると思われる.
  • とくに子宮体がん検診に関して
    日浦 昌道, 池谷 東彦, 福井 敬三, 重川 嗣郎, 二宮 みどり, 中田 美生, 佐伯 健二, 高岡 初男, 深田 千尋, 金子 真由美
    2000 年 39 巻 6 号 p. 459-464
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的: 愛媛県における平成元年~10年 (1989~1998年) の子宮体がん検診の実施成績について検討した.
    方法: 老人保健法に従い, 双合診後に原則的にオネストブラシまたはエンドサイトによる子宮内膜細胞診の検討を行った.
    成績: 愛媛県の子宮頸・体がんを含めての総検診実施数は454,150人, 子宮頸がんは407人 (0.09%) に発見され, 子宮体がん受診対象者は2,135人 (0.47%), 検診実施数は1,566人 (73.3%), 要精検者数は53人 (3.4%) であった. そのうち17人 (1.1%) に子宮体がんが発見された.
    年齢別細胞診の要精検者は50歳代に71.7%(38/53) を占め, 異常なし: 5人, 内膜増殖症: 29人, 子宮体がん: 17人, 追跡中: 2人である. 内膜増殖症は40, 50歳代に3人 (10.3%), 20人 (69.0%), 子宮体がんは50歳代に11人 (64.7%), 60~70歳代に5人 (29.4%) にみられた. 子宮体がん17人中4人に子宮頸がん受診時の頸部細胞診に陽性所見が認められた.
    結論: 以上の成績から, 細胞採取法, 検体作成法, 内膜細胞診判定基準などの施設間の相違などを考慮しても, 高危険因子を考慮した老人保健法による子宮体がん検診は発見率が良好で, 50歳代の婦人に高く, 子宮体がん検診の積極的推進が示唆された. さらなる子宮体がんの早期発見のためには, 危険因子を有する無症状婦人のスクリーニングが今後の課題と考えられた.
  • 小野 幸子, 竿尾 光祐, 佐々木 真紀子, 谷本 博利, 池内 清美, 塩岡 忠夫, 中野 正行, 三木 洋
    2000 年 39 巻 6 号 p. 465-467
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 近年, 肺クリプトコッカス症は検診制度の普及に伴い, 発見の機会が増加しつつある.今回われわれは, 胸水細胞診で肺クリプトコッカス症と診断しえた症例を経験した.
    症例: 症例は67歳男性, 糖尿病性腎不全のため, 人工透析を導入していた.導入半年後に37度台の発熱が持続し, 立位単純X線撮影で左下肺野に2個の腫瘤状陰影とともに大量の胸水貯留を認めた.
    同部に挿入されたドレーンより採取された胸水の細胞診検査で, Cryptococcus neoformansが確認され肺クリプトコッカス症と診断した.なお, 入院中の培養検査では一度も検出されず, 細胞診検査が本症例の診断上有用であった.
    結論: 近年AIDSの増加や移植医療の増加などに伴い, 免疫不全状態での真菌感染症への対応が重要性を増すと推定される.胸水を合併した肺クリプトコッカス症においては, 本症例の様に培養検査のみでは診断が困難な場合もあり, 細胞診検査が有用と考えられる.
  • 細胞転写法による確定診断
    和田 江身子, 鴻池 資啓, 木下 康枝, 大橋 功, 宮川 文, 羽賀 博典, 弓場 吉哲, 小橋 陽一郎
    2000 年 39 巻 6 号 p. 468-472
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 標本枚数に限りがある細胞診検査において, 細胞転写法を用いることにより多種の染色法が可能となる. 今回, 細胞転写法が有用であった気管支アミロイドーシスの1例を報告する.
    症例: 81歳男性, 血疾, 喘鳴を主訴とし胸部X線写真上肺癌が疑われ入院となった. 気管支鏡検査で発赤を伴う隆起性の粘膜病変が広範に認められ, 擦過細胞診では壊死様無構造物質, 炎症細胞, 組織球がみられたが異型細胞, 悪性細胞は認められなかった. 壊死様無構造物質には通常壊死物質にみられる壊死細胞の核など細胞残存所見がなく, アミロイドーシスを疑った. しかし, 患者の一般状態不良により生検が行えず, 確定診断のため, 壊死様無構造物質について細胞転写法を用い検討した. その物質は, コンゴレッド染色陽性, 抗アミロイドP-component抗体陽性, 電子顕微鏡的検索で幅約10nm前後のアミロイド線維が認められ, 細胞診材料のみでアミロイドーシスと確定しえた.
    結論: 細胞転写法は, 細胞診検査においてきわめて有用性の高い方法で, 今後多くの症例に応用できると思われた.
  • 経皮穿刺吸引細胞診について
    中原 由紀子, 中原 保治, 桂 榮孝, 糸山 光麿, 三村 拓郎, 藤岡 健一
    2000 年 39 巻 6 号 p. 473-477
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 肺硬化性血管腫2例の経皮穿刺吸引細胞像を検討した.
    症例: 喀血で受診した68歳女性と検診発見の40歳女性.いずれも経皮穿刺吸引細胞診で術前に診断に至らず, 摘出術を施行し肺硬化性血管腫と診断した.術前の穿刺吸引細胞診を再検討した.多量の血液成分を背景に, ヘモジデリンを含有する組織球性細胞が目立った.一部には, 円柱状・シート状集塊を形成する円形・多角形の細胞, 紡錘形の細胞もみられたがその数は非常に少なかった.
    結論: 従来より本症の捺印細胞像では多彩な細胞像を呈することが特徴とされるが, 今回検討した穿刺検体では, 多数のヘモジデリン含有組織球性細胞を認めることが特徴的であった.
  • 野間 勝之, 羽場 礼次, 小林 省二, 三木 洋, 矢野 好人, 石川 雅士, 黒河 達雄, 梅田 政吉
    2000 年 39 巻 6 号 p. 478-481
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 胸膜原発の孤立性線維性腫瘍solitary fibrous tumorままれな疾患で, その細胞学的な報告は少ない.細胞学的には紡錘形細胞主体の増殖を示す腫瘍との鑑別と同時に, 良悪性の判定が問題である.
    症例: 47歳, 女性.約4年前から胸膜肥厚を指摘され経過観察されていたが, 腫瘤の増大傾向がみられたため, 当院を受診した.CTと超音波エコー検査にて胸膜原発の腫瘍が疑われたが, 悪性腫瘍の可能性も完全には否定できないため, 腫瘤切除術が行われた.術中の腫瘤割面の擦過細胞診では, 細胞量は少なく, 紡錘形の小型細胞が一定方向に縦走し, 束状や平面的な配列も認められた.核の大小不同と核形不整は軽度で, クロマチンの増量や核分裂像の増加はなく, 裸核様細胞が多数みられた.組織学的には, 紡錘形と卵円形の核を有する腫瘍細胞が, 膠原線維の増生をともなって束状に増殖していた.免疫組織化学では, vimentinとCD34が陽性, 平滑筋actinが一部で陽性であった.
    結論: 胸膜原発のsolitary fibrous tumorの細胞像では, 細胞量が少なく紡錘形細胞が縦走配列を示す点, 多数の裸核様細胞が出現する点, 核異型に乏しく核分裂像の増加がみられない点などから, 他の紡錘形腫瘍との鑑別は可能であった.
  • 江原 輝彦, 是松 元子, 平野 剛, 下地 恵吉, 河村 憲一, 清水 健, 小島 勝, 鈴木 雅子
    2000 年 39 巻 6 号 p. 482-485
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: NK/T細胞リンパ腫は一般に節外性で鼻腔に生じるものが多いが, 消化管の報告もある.今回われわれは腹水中に出現した小腸原発NK/T細胞リンパ腫の1例を経験したので報告する.
    症例: 49歳, 男性.平成10年12月上旬より腹痛が出現し当院内科受診.平成11年1月8日腹痛増強し諸検査の結果穿孔性腹膜炎の診断で緊急手術となり, 術中に腹水貯留を認めたため細胞診を施行した.細胞所見はN/C比の上昇した中型ないし大型の異型リンパ球が散在性に出現し, 核は円形~類円形でくびれや切れ込みなどの不整形を示していた.メイーギムザ染色標本において弱好塩基性~淡明な細胞質内に多数のアズール, 頼粒を認めた.
    結論: 細胞診ではNK/T細胞性リンパ腫を推定するにはメイーギムザ染色標本における細胞質内のアズール穎粒が重要な手掛かりになると考えられた.
  • 山川 けいこ, 小林 省二, 荻野 哲朗, 河野 幸治, 舩本 康申, 岸田 不二夫, 平川 栄一郎, 羽場 礼次
    2000 年 39 巻 6 号 p. 486-492
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: Polymorphouslow-gr adeadenocarcinoma (PLGA) は, 主として小唾液腺に発生するまれな腫瘍であり, その細胞像の記載は少ない.そこで, 再発と転移を繰り返したPLGAのリンパ節穿刺吸引細胞診を経験したので, その細胞像を報告する.
    症例: 患者は70歳女性で, 1990年に右硬口蓋腫瘤を指摘され来院し, 小唾液腺由来のPLGAと病理診断された.1995, 1998, 1999年の計4回, 右顎下および右頸部リンパ節の腫脹がみられ, リンパ節穿刺吸引細胞診にて陽性と判定され, 組織診断によりPLGAの転移と再発が確認された.
    細胞像は, N/C比は高いものの多形性に乏しい腫瘍細胞が散在性あるいは集塊状に認められた.細胞集塊にはシート状集塊やadenoid cystic carcinoma (ACC) 様集塊, あるいは乳頭状や索状, 管状構造をうかがわせる所見が認められた.細胞集塊内および細胞集塊の周囲に特徴的な問質成分がみられた.
    結論: 細胞像はACCに類似していた.しかし, 間質成分と細胞集塊の特徴, 腫瘍細胞の細胞質の量, 核の所見などについて注意深く観察すればPLGAの診断は可能であると思われた.
  • 木村 洋, 稲本 和男, 神崎 由佳, 藤田 葉子, 布村 眞季, 若田 泰, 永田 文雄, 藤田 琢史
    2000 年 39 巻 6 号 p. 493-496
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 比較的まれな骨・軟骨化生を伴った乳癌を経験したので報告する.
    症例: 58歳, 女性, 10ヵ月前より右乳房 (CD領域) に直径2.5cm程度の腫瘤を自覚していたが放置.腫瘤の増大傾向著明のため当院を受診.臨床所見にて悪性腫瘍が疑われ, 穿刺吸引細胞診で乳管癌と判定した.穿刺吸引細胞所見は, 壊死性の背景に疎な結合を示す腫瘍細胞が小-中集団で出現していた.N/C比は高く大小不同があり, 核は類円形でクロマチンは細-粗穎粒状を呈し大きな核小体も認められた.また, 問質細胞様細胞も出現していた.組織標本では, 多量の間質粘液を含む紡錘形-円形異型細胞がみられた.また軟骨様の胞巣を形成する部分と, 一部に明らかな腺腔を呈する乳管癌像を認め, 骨・軟骨化生を伴う乳癌と診断した.
    結語: 細胞診標本では, 軟骨細胞がみられず判定困難であったが, 明らかな腺癌細胞に加え問質様細胞を認めた場合, 本腫瘍の存在も念頭に置く必要があると思われる.
  • 今村 友夏, 竹中 美千穂, 寺内 利恵, 山下 学, 朝倉 善史, 中野 万里子, 黒瀬 望, 野島 孝之
    2000 年 39 巻 6 号 p. 497-501
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 小細胞癌との鑑別を要した甲状腺髄様癌の1例を経験したので報告する.
    症例: 50年前に甲状腺右葉切除術が施行された85歳, 女性で, 右頸部に腫瘤を自覚し受診した.腫瘍マーカーのcarcinoembryonic antigenが644ng/mlと高値を示し, 穿刺吸引細胞診と針生検にて, 頸部リンパ節へ移転した小細胞癌が疑われた.全身検索にて原発病変が見い出されず, 腫瘤摘出術が行われた.穿刺吸引細胞診では, 腫瘤細胞は結合疎で散在性, 核は類円形裸核状, ク'ロマチンは穎粒状に増量していた.免疫組織化学的にはカルシトニン, クロモグラニンA, CEAが陽性で, 甲状腺髄様癌と診断された.
    結論: 穿刺吸引細胞診で, 小型異型細胞を観察した場合, 核の詳細, 細胞の配列とアミロイド物質の検討が必要と思われた.
  • 森 正樹, 今村 好章, 前川 秀樹, 法木 左近, 都築 秀明
    2000 年 39 巻 6 号 p. 502-506
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 今回われわれは, 頬部に発生した胞巣型横紋筋肉腫の成人例を経験したので報告する.
    症例: 33歳, 女性.1997年9月, 左耳前頬部に腫瘤を自覚.1998年2月腫瘍切除術が施行された.術前の穿刺吸引細胞診では, 重積する大小の細胞集団を多数認めた.腫瘍細胞は小型類円形で, N/C比大であった.術中捺印細胞診では, 重積する細胞集団および小円形細胞を散在性に認めた.また, 偏在核を有する単核細胞と多核巨細胞も認められ, 細胞質はライトグリーンに濃染性であった.核は類円-不整形, クロマチンは細穎粒状で, 小型核小体を1-数個認めた.組織学的には, 未分化小円形細胞の充実性・胞巣状構造から成る腫瘍で, 一部に豊富な好酸性細胞質を有する多核巨細胞もみられた.腫瘍細胞はグリコーゲンと横紋筋マーカーが陽性で, 電顕ではZ帯を伴ったフィラメント構造を認めた.以上の所見より頬部原発胞巣型横紋筋肉腫と診断した.
    結論: 成人の頭頸部領域に発生するsmall round celltumorの鑑別に, まれではあるが横紋筋肉腫の存在を念頭におくべきと考えられた.本例では, 少数出現していたライトグリーンに濃染する単核および多核巨細胞が横紋筋肉腫の細胞診断に重要と思われた.
  • 細胞像を中心に
    竹津 恵実子, 深町 茂, 村山 繁雄, 角田 幸雄
    2000 年 39 巻 6 号 p. 507-511
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 比較的まれな脊髄腫瘍である粘液乳頭型上衣腫 (Myxopapillary ependymoma, 以下MPE) の1例を経験したので, 細胞像を中心に検討した結果について報告する.
    症例: 症例は19歳, 女性.13歳頃より腰痛出現, 近医受診し, 牽引治療など受けるも症状が改善せず, 当院整形外科を紹介された.画像検査などで脊髄腫瘍と診断され, 腫瘍摘出術が施行された.術中迅速病理検査時の細胞診圧挫標本では, 腫瘍細胞は細長くのびた細胞質が網目状に絡み合い, 粘液様物質を取り囲んで球状構造を形成していた.毛細血管を中心にして粘液様物質を伴ったシダの葉様乳頭状構造を呈する細胞集団も認められた.腫瘍細胞の核は円形ないし類円形で異型が乏しく, クロマチンは均等分布していた.
    脊髄腫瘍においてMPEと鑑別を要する腫瘍は神経鞘腫, 髄膜腫, 神経膠腫などである.特に神経鞘腫との鑑別が問題となるが, MPEの方が細胞診標本上での細胞量が豊富であり, 細長く伸びた細胞質や粘液様物質を取り囲む細胞を観察することが重要となる.
    論: MPEの特徴である粘液様物質と腫瘍細胞の関係を観察するために, 組織標本に加え, 圧挫や捺印細胞診標本を併用することは情報量・操作性の面で診断に有用性が高いと思われた.
  • 宮本 敬子, 岩井 宗男, 宮平 良満, 吉田 孝, 藤澤 愛, 岡部 英俊
    2000 年 39 巻 6 号 p. 512-516
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 骨髄や末梢血の塗抹材料中に集塊形成を認めた悪性リンパ腫の一亜型であるangiotropiclymphomaと考えられた1例を経験したので報告する.
    症例: 患者は67歳女性で, めまい, 耳鳴りで発症し, 半盲, 片麻痺などの神経症状や痴呆性の症状を呈した。6ヵ月間に画像上で脳梗塞様の所見を多発した.骨髄穿刺塗抹標本中に胞体内に微細空胞を有する大型異型細胞が接着性を示す集塊を形成し出現していた.免疫細胞化学的にはCD20陽性でBリンパ球系由来であった.また接着分子CD44も陽性所見を示した.MRIで新たな梗塞像を認めLDH, CRPが上昇し血小板が減少している時期の末梢血中に, 骨髄で認められた細胞と同様の異型細胞集塊が出現していた.
    結論: angiotropic lymphomaは, 一般的には骨髄や末梢血中に腫瘍細胞が出現することはまれであるとされているが, 画像や臨床所見を十分把握し, 症状の悪化時に末梢血スメアの丹念な細胞学的検索を行い特徴的な腫瘍細胞の集塊を検出することより, 生前診断が困難とされているこの種のリンパ腫の診断向上に寄与しうる可能性が示唆された.
  • 原武 晃子, 大田 喜孝, 伊藤 園江, 中野 祐子, 楳田 明美, 高橋 光彦, 角 美和, 中村 康寛
    2000 年 39 巻 6 号 p. 517-520
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 臀部に発生したeccrine porocarcinomaの1例を経験したので, その捺印細胞所見を中心に報告する.
    症例: 85歳, 女性.大腿骨骨折のため他院に入院中, 臀部に2ヵ所の腫瘍を指摘され, 某皮膚科を受診.生検の結果eccrine porocarcinomaと診断され, 手術目的で当院形成外科へ紹介入院となった.術中に提出された腫瘍部の捺印細胞診では2種類の腫瘍細胞が観察された.一つは重積性を示す類円形小型細胞の大きな集塊で, 細胞質は狭くライトグリーンに淡染し, 核の染色性は強く, 顆粒状のクロマチン構造を認めた.もう一つは緩やかな結合を示す異型の強い中-大型の細胞で, ライトグリーンに好染する比較的重厚な細胞質を有し, 核クロマチン構造は繊細で, 明瞭な核小体を1-2個認めた.なお, 鼠径部リンパ節への転移を認めた.
    組織所見においても胞巣状に浸潤する小型の類円形細胞 (poroma様細胞) と, その胞巣間にあって扁平上皮層に連続する中-大型の多辺形または類円形の核異型の強い細胞として観察された.
    結論: eccrine porocarcinomaの診断に際しては腫瘍発生部位の確認とともに異なった形態を示す2種類の細胞を認めることが有効な情報になりうるものと考えられた.
  • 隅越 かつ子, 上坊 敏子, 新井 努, 川口 美和, 渡辺 純, 蔵本 博行
    2000 年 39 巻 6 号 p. 521-526
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 子宮頸部乳頭状扁平上皮癌は, 組織学的にまれな乳頭状構造を示す扁平上皮癌であり, 生検で浸潤病変を診断することは困難なことが多いとされている.
    症例: 61歳, 2経妊1経産.肉眼的に子宮頸部に乳頭状に隆起した腫瘍を認め, 浸潤癌を疑う所見であった.細胞所見としては (1) 著明な腫瘍壊死性背景の中に孤立性または大小の集塊を形成して多数の異型細胞が出現していた.(2) 異型細胞は比較的小型であるが多形性に富み核大小不同もみられた.(3) 核は円形-長円形でクロマチンは増量し細顆粒状であった.(4) 核小体は余り目立たず, 小型なものが1, 2個みられる程度であった.(5) 細胞質は厚く, ライトグリーン好染性であった.(6) 一部のクラスターでは乳頭状構造が目立ち, 血管を含む間質の介在を認めた.生検組織所見では浸潤所見は明らかではなかったが, 手術標本では, 腫瘍組織は著明な乳頭状増殖を示し, 血管の増生を伴う間質組織を覆うように腫瘍細胞が認められた.また深部では非角化型扁平上皮癌が間質へ浸潤していた.
    結論: 細胞診では明らかな浸潤癌の所見であったが組織診では浸潤が確認できなかったことから, 本疾患における浸潤の診断においては細胞所見が有用である
  • 加勢 宏明, 児玉 省二, 倉林 工, 田中 憲一, 永井 絵津子, 山田 潔
    2000 年 39 巻 6 号 p. 527-530
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 本邦では比較的まれとされる子宮頸部原発の明細胞腺癌を2例経験した.
    症例:(症例1) 67歳女性.頸部に限局する明細胞腺癌 (嚢胞腺管型) を認めた.膣部細胞診では, 大型核小体をもつ腫瘍細胞が散在性に出現し, またレース状の淡い豊富な細胞質をもつ腫瘍細胞がシート状に確認された.(症例2) 74歳女性.全周性に明細胞腺癌 (乳頭型が主体) を認めた.膣部細胞診では, 大型核小体をもつ腫瘍細胞が散在性に出現し, collagenous stromaを有する細胞集塊も変形してみられた.シート状集塊は確認できなかった.遠心塗抹した内膜細胞診には腫瘍細胞が多数混入しており, Collagenous stromaを有する細胞集塊が多数出現し, 球状だが, 2層構造も多くみられた.
    結論: 組織亜型の異なる明細胞腺癌2例において, 細胞標本上も異なる出現形式がみられた.
  • 芦原 康氏, 伊東 英樹, 小泉 基生, 斉藤 豪, 鈴木 孝浩, 山下 智子, 山名 香織, 工藤 隆一
    2000 年 39 巻 6 号 p. 531-535
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 非常に予後不良であり, また有効な術後補助療法の確立されていない子宮内膜漿液性腺癌3症例を経験したので報告する.
    症例: 平均年齢68.7歳, 全例が不正性器出血を主訴に他院を受診し, 内膜細胞診が疑陽性または陽性のため精査・治療目的で紹介となる.細胞計測結果は, 核は円形~ 楕円形で, 核長径は, 平均11.5±2.4μm, 核短径, 10.4±2.0μmと小型であり, 細胞質内には空胞を認めることが多く, 核小体 (平均2.4±0.4μm) が著明.術後病理組織分類はそれぞれpT3aNlMO, pTlbNOMOそしてpTlcNlMOであった.術後補助療法として2症例に化学療法, 1症例に放射線療法が追加施行.その後前2症例は再発し死亡, 1例は経過観察中である.
    結論:臨床診断上, 細胞診所見が特徴的であり, ブドウ房状, 乳頭状の細胞集塊, 核は小型で, 細胞質はN/C比大, さらに砂粒小体を認める場合がある.また一般的に筋層浸潤が浅くとも, 子宮外に浸潤していることが多いとされているが, 本症例でもその傾向は明らかであり予後不良の一因と考えられた.
  • 川畑 圭子, 渡辺 騏七郎, 尾崎 聡, 石山 進, 安藤 さおり, 丹後 正紘
    2000 年 39 巻 6 号 p. 536-540
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 左鼠径部に4cm大の硬い腫瘤を呈し, 画像を含む臨床および細胞診所見で悪性とみなされたが, 摘出生検でリンパ節をまきこんだ鼠径部子宮内膜症と判明したまれな1例を報告する.
    症例: 患者は43歳, 女性.主訴は左鼠径部腫瘤.5年前より同部に腫瘤を認め, 1年前よりときどき痺痛が出現していた.超音波およびCT検査で悪性腫瘍のリンパ節転移が強く疑われた.穿刺吸引細胞診では, 炎症細胞と壊死物質を背景にして, 異型は乏しいが上皮性結合集団が出現していた.“リンパ節穿刺” と称されて提出されたため.classV, 腺癌のリンパ節転移と診断した.しかし, 精査するも原発巣を見い出せず, 腫瘤の摘出生検が施行された.
    生検組織像で, fibrosisを伴い, リンパ節を巻き込んだ左鼠径部軟部組織の子宮内膜症と判明した.なお, 患者は2歳時に左鼠径ヘルニアの手術を受けている.
    結論:本例の細胞診上の反省点として, リンパ節穿刺と称された材料でも, 上皮性細胞があるからといって短絡的に悪性とせず, 必ず, 明瞭な悪性所見の有無を注意深く確認すべきことを痛感した.子宮内膜症が増加傾向にある現在, 性成熟女性の腹部の細胞診では, 本症を常に念頭におく必要があると思われた.
  • 池田 聡, 木村 博, 本間 恵美子, 鈴木 恵子, 芝田 敏勝, 船越 尚哉
    2000 年 39 巻 6 号 p. 541-542
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    To study the clinical significance of MMP-7 in colorectal cancers, we investigated 69 cases of imprint smear using immunocytochemistry and in situ hybridization. A total of 39 of 69 cases were positive for MMP-7 expression by immunocytochemistry. The expression of MMP-7 protein and mRNA were correlated. Positive cases of MMP-7 proteintented to be moderately differentiated tumors of the sigmoid colon or rectum, and invasive cases. The expression of MMP-7 and metastases to lymph nodes and liver were strongly correlated. In conclusion, MMP-7 may be a useful marker for invasion and metastasis in colorectal cancer.
  • 本間 隆志, 福永 真治, 山田 直子, 小林 久仁子
    2000 年 39 巻 6 号 p. 543-544
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Cytological findings of Leydig cell tumor of the testis are described. A 61-year-old male presented with left scrotal swelling and no hormonal manifestations. The castrated left testis contained a 4.6×4.1 cm, well-defined, yellowishbrown mass. Imprint cytological specimens showed polygonal, weakly cohesive tumor cells with round nuclei, fine granular chromatin, small nucleoli and light-green stained cytoplasm. Lipofuscin pigments were observed but no Reinke's crystals were found. The tumor cells were positive for cytokeratin and α-inhibin. Clinical information and consideration of related diagnoses are essential for the diagnosis of this tumor and α-inhibin immunostaining is helpful.
  • 羽場 礼次, 小林 省二, 三木 洋, 岸田 不二夫, 河野 幸治
    2000 年 39 巻 6 号 p. 545-546
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report a rare case of glucagonoma of the pancreas, in which intra-operative cytology was helpful. By histological examination of a frozen section, it was difficult to determine whether the tumor was endocrine tumor, acinar cell carcinoma, or invasive ductal carcinoma. Cytologically it was diagnosed as endocrine tumor from the cytological features of noncohensive clusters, scanty, granular and rich cytoplasm, and round nuclei with even granular chromatin, there by excluding other malignant tumors.
  • 土谷 弘志, 境 良司, 田中 裕穂, 河野 恵美, 自見 厚郎
    2000 年 39 巻 6 号 p. 547-548
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report the cytological findings of elastofibroma dorsi in the left subscapular region of a 55-year-old man and in the right subscapular region of a 58-year-old woman. The cut surface of the tumors was scraped with surgical blades. The scraped specimens showed fibroblast-like cells, light-green stained bead string-like or spherical structures and globules with serrated edge (petaloid globules) in Papanicolaou stain. The bead string-like structures were elastofibroma fibers.
    These elastofibroma fibers were also stained light-blue with Giemsa stain. To find elastofibroma fibers, we recommend the use of Giemsa stain rather thfan Papanicolaou stain.
  • 加藤 清, 土岐 利彦, 清水 元彦, 小西 郁生, 勝山 努
    2000 年 39 巻 6 号 p. 549-550
    発行日: 2000/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report a case of primary clear cell adenocarcinoma of the vagina in a 72-year-old woman. The tumor arised in the anterior to left vaginal wall at the introitus and showed signs of ulceration. A PAP smear revealed atypical round cells containing clear and abundant cytoplasm and round nuclei, with one to several prominent nucleoli in sheet-like clusters. Some nuclei with almost no cytoplasm and were scattered around the clusters.
    Histologically, the tumor consisted of two portions: a clear cell adenocarcinoma and a less-differentiated adenocarcinoma.
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