抄録
背景: 胸膜原発の孤立性線維性腫瘍solitary fibrous tumorままれな疾患で, その細胞学的な報告は少ない.細胞学的には紡錘形細胞主体の増殖を示す腫瘍との鑑別と同時に, 良悪性の判定が問題である.
症例: 47歳, 女性.約4年前から胸膜肥厚を指摘され経過観察されていたが, 腫瘤の増大傾向がみられたため, 当院を受診した.CTと超音波エコー検査にて胸膜原発の腫瘍が疑われたが, 悪性腫瘍の可能性も完全には否定できないため, 腫瘤切除術が行われた.術中の腫瘤割面の擦過細胞診では, 細胞量は少なく, 紡錘形の小型細胞が一定方向に縦走し, 束状や平面的な配列も認められた.核の大小不同と核形不整は軽度で, クロマチンの増量や核分裂像の増加はなく, 裸核様細胞が多数みられた.組織学的には, 紡錘形と卵円形の核を有する腫瘍細胞が, 膠原線維の増生をともなって束状に増殖していた.免疫組織化学では, vimentinとCD34が陽性, 平滑筋actinが一部で陽性であった.
結論: 胸膜原発のsolitary fibrous tumorの細胞像では, 細胞量が少なく紡錘形細胞が縦走配列を示す点, 多数の裸核様細胞が出現する点, 核異型に乏しく核分裂像の増加がみられない点などから, 他の紡錘形腫瘍との鑑別は可能であった.