日本臨床細胞学会雑誌
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再発と転移を示したPolymorphous low-grade adenocarcinomaの1例
山川 けいこ小林 省二荻野 哲朗河野 幸治舩本 康申岸田 不二夫平川 栄一郎羽場 礼次
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2000 年 39 巻 6 号 p. 486-492

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抄録

背景: Polymorphouslow-gr adeadenocarcinoma (PLGA) は, 主として小唾液腺に発生するまれな腫瘍であり, その細胞像の記載は少ない.そこで, 再発と転移を繰り返したPLGAのリンパ節穿刺吸引細胞診を経験したので, その細胞像を報告する.
症例: 患者は70歳女性で, 1990年に右硬口蓋腫瘤を指摘され来院し, 小唾液腺由来のPLGAと病理診断された.1995, 1998, 1999年の計4回, 右顎下および右頸部リンパ節の腫脹がみられ, リンパ節穿刺吸引細胞診にて陽性と判定され, 組織診断によりPLGAの転移と再発が確認された.
細胞像は, N/C比は高いものの多形性に乏しい腫瘍細胞が散在性あるいは集塊状に認められた.細胞集塊にはシート状集塊やadenoid cystic carcinoma (ACC) 様集塊, あるいは乳頭状や索状, 管状構造をうかがわせる所見が認められた.細胞集塊内および細胞集塊の周囲に特徴的な問質成分がみられた.
結論: 細胞像はACCに類似していた.しかし, 間質成分と細胞集塊の特徴, 腫瘍細胞の細胞質の量, 核の所見などについて注意深く観察すればPLGAの診断は可能であると思われた.

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