日本臨床細胞学会雑誌
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喀出された腫瘍片の細胞診に紡錘形異型細胞を伴っていた肺小細胞癌の1例
早坂 綾子辻 忠克中尾 祥子寺田 修治大崎 能伸
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2001 年 40 巻 2 号 p. 134-138

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抄録

背景:喀出された腫瘍片の細胞診, 組織診で異型間質細胞を認めた肺小細胞癌の1例を経験した.
症例:76歳の男性. 右肺下葉の結節性陰影と縦隔リンパ節の腫大を認めたため肺悪性腫瘍が疑われた. 喀痰採取時に組織片を喀出し, それを検体として細胞診, 病理組織診を行った. 細胞診では壊死性物質を背景に, 小型で裸核状の腫瘍細胞が木目込み配列を伴った結合性の弱い細胞集塊として多数出現しており肺小細胞癌を疑った.同時に紡錘形異型細胞や多核の巨細胞を多数認めた. これらの異型細胞は抗NSE抗体では染色されなかった. 組織像では紡錘形異型細胞を小型の腫瘍細胞巣の周囲に認めた. この紡錘形細胞は抗NCAM抗体では染色されず, 抗vimentin抗体, 抗actin抗体で一部の細胞が染色された.
結論:細胞診に出現していた紡錘形異型細胞や多核巨細胞は, 腫瘍周囲に増生し異型を示した線維芽細胞と筋線維芽細胞と考えられた.

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