2001 年 40 巻 2 号 p. 158-162
背景:子宮頸部腺癌は発見時に臨床病気の進んだものが多いが, 早期に発見されるためにはその細胞像の特徴を明らかにする必要がある. 特に非浸潤性子宮頸部Villoglandular papillaryadenocarcinoma (VGA) は頻度が低いため, 細胞診検体に遭遇する機会が少ない. 今回われわれは非浸潤性子宮頸部VGAの2例を経験したので, 進行性の浸潤性頸部腺癌の細胞像と比較検討して報告する.
症例:症例1; 33歳, 尖圭コンジローマの治療中に細胞診の異常を指摘された. 細胞所見は壊死性背景はみられず, N/C比大の小型細胞が乳頭状集塊で多数出現, 核異型は弱くClass IVと判定. 組織診で非浸潤性のVGAと診断された. 症例2; 37歳, 下腹部~腰部にかけての重苦感を主訴として受診. 細胞所見は症例1と似た小型細胞が大型の乳頭状集塊で出現, また腺腔形成がみられるのもありClass IVと判定, 組織診断はVGA+神経内分泌細胞癌だった.
結論:非浸潤性のVGAは腫瘍性背景を伴わず, 小型の細胞が結合の強い乳頭状集塊で出現し, 核異型は弱いが核問距離が不整で, 核の不規則な重積が特徴である.