日本臨床細胞学会雑誌
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胸水細胞診で診断し得た縦隔原発硬化性大細胞型B細胞リンパ腫
佐藤 康晴藤原 恵栗原 寛治和田 健一梶原 忠雄
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2001 年 40 巻 4 号 p. 354-357

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抄録

背景:胸水細胞診で診断し得た縦隔原発硬化性大細胞型B細胞リンパ腫 (mediastinal large B-cell lymphoma: 以下MLBL) の1例を経験したので報告する.
症例:患者は19歳, 男性で近医にて前縦隔腫瘤, 胸水貯留ならびに血中LDの上昇を指摘され, 当院紹介入院となり, 胸水細胞診と前縦隔腫瘤のCTガイド下生検が施行された. 胸水中には一点を中心として核が平面的に分葉しクローバー状を呈するものや好中球のように糸状核で核が連結されるものなどが認められ, いわゆる“multilobated nuclei”の形態を呈する腫瘍細胞が出現していた. 前縦隔腫瘤の生検組織には多分葉核を示す大型異型細胞がびまん性に増殖し, 膠原線維の増生による硬化像を伴っており, MLBLと診断された.
結論:MLBLは核形態と臨床病理学的事項が特徴的であり, 細胞像を詳細に観察し, 臨床所見も考慮すれぼ細胞診に於いても診断可能であると考えられた.

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