日本臨床細胞学会雑誌
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術中迅速細胞診で推定し得た胃原発グロームス腫瘍の1例
河合 賢岸川 直人伊藤 敬足立 史朗
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2003 年 42 巻 1 号 p. 31-34

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抄録

背景:glomus腫瘍は毛細血管の先端にある神経筋性装置に由来する良性腫瘍で, そのほとんどは四肢末端や爪床に発生する. 胃粘膜下腫瘍として発生し, 術中迅速細胞診にて推定し得たglomus腫瘍を経験したので報告する.
症例:32歳, 女性. 高度貧血の原因精査の過程で, 出血を伴う胃粘膜下腫瘍が認められた. 術中の捺印細胞診では, 単一で異型度の低い腫瘍細胞が結合性の強い小集塊を形成しているのが認められた. クロマチンパターンが均上一で結合性の強い像からglomus腫瘍が疑われた. 組織診断において細胞像を反映する典型的なglomus腫瘍の像が確認され, 免疫組織染色の結果も併せて診断が確定した.
結論:小型類円形の均一な腫瘍細胞からなる胃粘膜下腫瘍としてはcarcinoid腫瘍が鑑別にあげられるが, 腫瘍細胞の結合性の強さやクロマチンの性状から, その鑑別は比較的容易と考えられた.

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