日本臨床細胞学会雑誌
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子宮内膜細胞診標本中に腫瘍細胞を認めたExtraovarian peritoneal serous papillary adenocarcinomaの1例
竹森 正幸西村 隆一郎
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2004 年 43 巻 1 号 p. 47-50

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抄録

背景:Extraovarian peritoneal serous papillary adenocarcinoma (EPSPC) は, 漿液性乳頭状卵巣癌との鑑別が困難な, 比較的まれな疾患の一つである. 卵巣癌細胞がしばしば子宮内膜細胞診標本中に認められることは報告されているが, EPSPCの腫瘍細胞が子宮内膜細胞診標本中に認められたという報告はみられない.
症例:51歳. 大量の腹水が認められ, 腹水穿刺細胞診によって腺癌と診断された. しかし, 消化器検査では異常なく, 卵巣腫大も認められず, 開腹手術によってEPSPCと確定診断した. 術前に, 腹水中と同様の腫瘍細胞が子宮内膜細胞診標本中にも認められたが, 術後の病理組織学的検索では, 子宮内腔に悪性所見は認められなかった.
結論:子宮内膜細胞診で認められた腫瘍細胞は, 腹水中の腫瘍細胞が子宮腔内に迷入したものと考えられた. EPSPCの術前診断は困難であるが, 子宮内膜細胞診標本の注意深い観察がEPSPC診断の端緒となる可能性が考えられた.

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