日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
A case of primary ovarian carcinosarcoma
Hiroshi FUSHIKIHideo YOSHIMOTOTomomi IKOMAEiko MAEDATerahata SHINTAROTakesi TASYOYukiko MITSUIMika OHASHI
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 43 巻 1 号 p. 51-55

詳細
抄録

はじめに, 卵巣原発の癌肉腫は非常にまれである.今回, 救急外来受診後急激な経過をたどった本症例を経験したので報告する.
症例は, 80歳, 2妊2産.家族歴および既往歴は特記すべきことなし.腹部膨満感, 食欲低下, 嘔吐のために当院救急外来受診し入院となる.超音波断層法およびCTにて大量の腹水と約10cm大の腫瘤がみられた.その後腹水貯留のため呼吸不全が悪化し, 腹水を約3,000ml排液し, 同時に細胞診も施行した.腫瘍マーカーはCA125が49.5U/mlとやや高値を示したのみであった.入院後9日目に, 輸液などの全身管理の甲斐もなく永眠された.腹水の細胞所見は, 大型の細胞が出現し, 核は不整形であり核密度が高く散在性であった.また, 核小体の腫大, クロマチンの増量および核縁の不整がみられ, 肉腫様の悪性細胞と診断した.剖検により, 右卵巣原発の癌肉腫であった.癌腫部分は類内膜腺癌であり, 肉腫部分は悪性線維性組織球腫様であった.今回, 高齢でかつ癌性腹膜炎の状態で来院され急速な経過をたどった本症例を経験したので報告した.

著者関連情報
© The Japanese Society of Clinical Cytology
前の記事 次の記事
feedback
Top