日本臨床細胞学会雑誌
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扁平上皮癌との鑑別が困難であった乳腺Pagetoid癌の1例
青木 章乃, 谷山 清己, 加太 武, 空 久美, 泉 佳恵, 河岡 久美子, 奥村 真紀子, 石田 克成
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2006 年 45 巻 2 号 p. 106-110

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抄録
背景: 乳頭分泌物細胞診で扁平上皮癌との鑑別が困難であった乳腺Pagetoid癌を経験したので, その細胞所見を報告する.
症例: 患者は84歳, 女性. 乳頭分泌物標本では, 角化扁平上皮細胞やライトグリーンに染まる上皮性細胞集塊が出現し, 背景には多数の好中球が認められた. 細胞集塊内では細胞境界が明瞭で, 個々の細胞は比較的厚い細胞質を有し, 大型円形核小体あるいは複数の小型核小体が目立っていた. 細胞質が明るく泡沫状で核小体が目立つ細胞を見出した点より腺癌も考慮したが, 角化を示す異型紡錘形細胞など異型重層扁平上皮細胞を多数認めたことから扁平上皮癌と報告した. 組織診断は充実腺管癌によるPagetoid癌であり, 異型重層扁平上皮は表皮内病巣の反応性変化であった. 乳頭分泌物標本を転写して抗HER2ヒト化モノクロナール抗体を用いた免疫染色を行ったところ, 異型扁平上皮細胞部分は陰性, ライトグリーン好性異型細胞集団では免疫活性陽性所見が認められた.
結論:乳頭部びらんを主訴とする症例の乳頭分泌物細胞診においては,異型重層扁平上皮よりも異型腺上皮に重点を置いた慎重な判定が不可欠であり,免疫染色も応用して診断する必要があると考えられた.
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