抄録
子宮頸部に発生する悪性腺腫は高分化型粘液腺癌の一亜型であり, 現在のWHO分類 (2003年) では最小偏椅腺癌として記載されている. 近年, HIK1083によって免疫組織化学的に示される胃型形質の発現や, 高度の水様帯下, MRIやCTで描出される多数の嚢胞, 頸部スメアにおける黄金色の細胞質内粘液を有する腺細胞の出現, などが悪性腺腫に特徴的であるとの報告が相次いだが, 特異性についての十分な検証がなされないまま, 診断的意義が過度に強調される傾向にあった. その結果, 分葉状頸管腺過形成 (LEGH) などの良性腺増殖性病変が悪性腺腫と誤認されるなどの問題が生ずるにいたった. LEGHが悪性腺腫の発生母地である可能性が示唆されているが, 治療を前提とした場合, 両者は厳密に区別される必要がある. 鑑別の基本はあくまでも組織形態の注意深い観察であり,(1) 増生腺管の形と配列の仕方,(2) 細胞異型,(3) 破壊性浸潤に伴う問質反応の有無, を評価することが重要である. 免疫あるいは粘液染色は補助的手段にすぎない.