日本臨床細胞学会雑誌
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Liquid-based cytology (Thin-layer標本) による乳腺穿刺針洗浄液細胞診の評価
平 紀代美松林 聡東 学中島 真奈美今井 直樹鈴木 宏明田村 元竹原 めぐみ山城 勝重
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2006 年 45 巻 2 号 p. 77-83

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抄録

目的:乳腺穿刺細胞診で, 従来法塗抹標本にLiquid-based cytology (LBC) による針洗浄液細胞診標本を追加することの有用性を検討した.
方法:塗抹標本とLBC標本を作製した乳腺穿刺細胞診症例を検討した. 標本上の細胞数, 乾燥・挫滅などを基準に適正標本数の変化を検証した. またそれらの細胞診断と病理診断との比較を行い, さらにLBC標本の細胞の特徴を明らかにした.
成績:564例中, LBCの実施により126件で細胞数が増加していた. また50件の塗抹標本では細胞数が十分であったが, 乾燥・挫滅がみられた. 総合的には塗抹標本のみでは248件 (44%) が適正検体であったが, LBC標本を追加することにより411件 (73%) と増加した. 塗抹標本とLBC標本の診断内容に大きな差はみられなかったが, LBC標本を追加したことにより正常・良性検体の多くが診断可能となった. LBCの細胞所見にはいくつかの注意すべき点もあった.
結論:塗抹標本にLBCによる針洗浄液細胞診を追加することによって明らかに適正標本が増加した. またLBC標本の細胞所見の特徴を把握すれば適切な細胞診断が可能である.

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