日本がん看護学会誌
Online ISSN : 2189-7565
Print ISSN : 0914-6423
ISSN-L : 0914-6423
研究報告
ライフレビューに見出されるがん患者の希望
堀 理江
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2013 年 27 巻 2 号 p. 56-64

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抄録

要 旨

本研究の目的は,がん患者にライフレビューを用いた面接を行い,ライフレビューに見出される希望と,ライフレビューを用いた介入が患者に与える影響を明らかにすることである.がん患者4名に対し,ライフレビューを用いた4回の面接を行い,参加者が語ったストーリーを,希望に焦点を当てて分析した.患者の歩んできた人生の中で希望は形づくられてはいるが,ライフレビューによって人生を時系列に沿って振り返り,他者に言語化して語ることで未来を意識し,未来について考えることができる,すなわちライフレビューによって,希望がより具現化されることが明らかになった.また,がん患者の希望は未来を志向しているが,どのくらい遠い未来を志向できるかは身体症状が影響していることが明らかになった.ライフレビューにより,他者に語るという行為は,物事に違った意味を見出す,新たな気づきを生むという意味があった.また,がん患者は自分自身の死を意識しながらも,子孫や自分自身が創造したものに未来を託すことで,希望が維持できる可能性が示唆された.

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2013 一般社団法人 日本がん看護学会
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