日本がん看護学会誌
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研究報告
早期食道がん患者が食道全摘出術・胸壁後再建術後に受ける生活への影響と対処
西村 歌織川村 三希子竹生 礼子木村 公美
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2013 年 27 巻 2 号 p. 65-73

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抄録

要 旨

本研究の目的は,早期食道がんにより食道全摘・胸壁後経路再建術を受けた患者が,どのように生活への影響を受け,どのような対処を行っているのかを患者自身の視点から明らかにすることである.

データ収集は術後外来通院中の患者に対する半構造的面接により行い,質的帰納的に分析した.研究にあたり所属機関などの倫理委員会の承認を得た.

対象者は50~70歳代の男性6名であった.病期は0期が1名,1期が5名であり,術後からの期間は7~14カ月であった.インタビューは1人につき1回,時間は平均41.5分であった.分析の結果,生活への影響と対処は「予期に反して普通にできていたことができず動揺する」,「手さぐりと失敗,揺らぎの繰り返しにより食べ方をつかむ努力をする」,「普通の暮らしを継続するための努力と調整をする」,「回復による日常生活の安定感,安心感が得られず閉じこもる」,「体重と体力の変化から回復力を実感する」,「にわかに回復しなくとも命拾いした体と折り合いをつけ自分なりに生きる」の6つのカテゴリーにより構成されていた.

対象者は予期に反して重大な食事摂取困難や体力低下を体験し,社会的生活にまで影響を受けていた.術後の障害は他者に理解されにくく心理的に閉じこもりながらも,手さぐりと失敗の繰り返しの中で自分なりの対処法を獲得している現状や,少しずつ回復力を感じることで困難と折り合いをつけていくことが明らかとなった.

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2013 一般社団法人 日本がん看護学会
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