日本がん看護学会誌
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研究報告
広汎子宮全摘術を受けた患者が変化したと捉えた自己概念
川原 風砂子田中 京子
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2013 年 27 巻 2 号 p. 74-82

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抄録

要 旨

本研究の目的は,広汎子宮全摘術を受けた患者のがん罹患前の自己概念と手術後に患者が変化したと捉えた自己概念を明らかにすることである.広汎子宮全摘術を受け外来通院中の女性患者7名を対象に,半構成的面接により得られたデータを質的内容分析した.がん罹患前の自己概念は『健康な自分』,『生きたいように生きる自分』,『女性として生きる自分』,『自分の役割を全うする自分』の4つの上位カテゴリーに,手術後に変化したと捉えた自己概念は{自分を苦しく思う自分},{新たな生き方を得た自分},{女性性を意識する自分},{人とのかかわりの中で生きる自分}の4つの上位カテゴリーに分類された.広汎子宮全摘術を受けた患者が変化したと捉えた自己概念が意味するものは,がん罹患前の自分の喪失,新たな自分の獲得,女性性に対する意識の変化と考えられた.

がん罹患前の自分の喪失には身体コントロール感の障害による体に対する信頼感の低下,新たな自分の獲得には苦しい体験の中で自己認識が拡大することが関係していたと考えられた.女性性に対する意識の変化には周囲からの評価が影響していたと考えられた.以上から広汎子宮全摘術を受けた患者が自己を肯定的に捉えられるためには,身体コントロール感の再獲得や自己認識の拡大,患者が自分を女性と実感できるかかわりへの援助が必要と考えられる.

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2013 一般社団法人 日本がん看護学会
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