2008 年 10 巻 2 号 p. 123-126
DPCとクリニカルパス(以下パス)の関係を解析して、経営効率改善と重点疾患群へのマーケティング戦略として活用可能かどうかを検討した。DPCに対応させた肺癌手術パスは平成18年のDPC改定に合わせて変更した新パスで在院日数短縮、診療単価が増加したが、DPC報酬/出来高報酬比はDPC診療点数が削減された影響を受けて低下した。肺癌化学療法における医療効率の比較ではパスにより抗癌剤投与日、検査日、検査回数が標準化され、在院日数の短縮と診療単価の増加に好影響を及ぼした。鳥取県西部地区における当院の患者シェアと年間退院患者数のSWOT解析では競合病院は多いが、患者数の大きいMDC疾患群は消化器系、呼吸器系、循環器系、筋・骨格系などがあり、この分野で自院の特徴を活かして、周囲にアピールできるパスを整備することが重要と考えられた。診療科別のパス適用率とDPC入院期間R未満の解析では両者に相関関係を認めず、パスが使用されずに入院期間が長い診療科にはパスの作成を促し、パスが使用されても入院期間が長い診療科にはパスをDPCに対応させるように改定を促す必要があった。DPC導入病院ではパスによる良質の医療を展開することが重要で、DPCとパスを適切に活用すれば経営効率改善の方策とマーケティング戦略の方向性も見えてくる。