2021 年 2 巻 J2 号 p. 617-625
地盤構造物の安全管理を行う上で,地盤物性値の空間分布を正確に推定することが重要であるが,観測点は限定的であり,得られている情報を全て有効に活用して合理的に推定することが好ましい.推定対象の物性値と相関の高い他の計測データを考慮することでより正確な推定が可能となる.本研究では,複数の確率場を重ねあわせた Gaussian Process Regressionによる空間分布推定手法を拡張し,ランダム成分については複数の計測データの相関を考慮する手法を提案する.実測の3種類の計測データを対象に,注目する物性値の空間分布についてトレンド成分とランダム成分への分離を行い,ランダム成分に対して複数種類の物性の相関を考慮する場合としない場合の比較を行った.複数の計測データの相関を考慮することで,推定の不確定性の減少,より精度の高い推定が可能となった.