2009 年 11 巻 3 号 p. 261-266
本研究は、使用中の患者用パスには患者の意見が取り込まれていないことより、患者の知りたい情報が提供できているのかを知り、患者が知りたい情報を得ることで、今後のパス改定の示唆とすることを目的とした。当病棟で食道切除術、肝臓切除術、膵頭十二指腸切除術、肺・縦隔切除術においてクリニカルパス(以下パス)を使用した患者50名を対象に研究者独自が作成した選択式自記式質問紙を用いてアンケート調査を実施した。結果、各質問において、「傷の痛みについて」の項目が最も多く見られ、患者は、想像以上の痛みを体験しており、術後の痛みの程度や緩和法の情報を求めていることがわかった。次に多く見られた項目は、「傷以外の症状について」であり、合併症を持っている患者は患者特有の症状についての情報を求め、退院が近くなると、どのように生活が変容するのかという手術後の生活についての情報を求めていることがわかった。その他に患者の意見から、患者自身がパスを工夫し使用していること、患者は直接記載して活用できるパスを希望していることがわかり、今後のパス改定に向けての示唆を得た。