日本クリニカルパス学会誌
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総説
クリニカルパスマネジメント専従者・兼任者に求められる役割、知識、技術
~現在の活動状況から考える今後の課題~
村木 泰子
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2013 年 15 巻 3 号 p. 157-162

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抄録

 日本クリニカルパス学会が発足して10年を超え、現在、診療報酬や病院機能評価の要件にもクリニカルパス(以下、パス)の作成・運用が記載されるようになった。病院組織においてパスが重要なツールとなってきており、全体としてパスを運用・管理し、PDCAサイクルをまわすことが必要となった。今後はパスをどのように運用・管理するかということを経営戦略のひとつとして真剣に考える必要がある。

 このような背景を踏まえて2002年頃よりクリニカルパス担当の専従者または兼任者(以下、パス担当専従・兼任者)を配置する病院組織が増えたが、その業務内容や活動時間は明確に規定されたものはない。特にパス担当専従・兼任者に看護師を配置することが多く、担当看護師は「パスナース」と呼ばれている。彼らは看護業務とは別に「パス活動専従の時間を得たい」と考えているが、パス活動専従の時間を看護師が得るためには役割と評価基準を明確にする必要がある。また、パス担当専従・兼任者を配置するのか、もしくは配置せずに委員会としてパスを運用・管理していくかは、病院組織の規模や方向性に合わせて検討する必要がある。

 今回、病院組織内で役割と成果が明示され、それに準じて活動内容を評価されている専門・認定看護師を基準に、パス担当者であり専従・兼任で活動している看護師の学会報告より、パス担当専従・兼任者の役割と必要な知識・技術について考察を行った。パスにおいて患者への配慮がなされることが患者中心の医療を行ううえで重要であり、パスは全職種が関与するため、パス担当専従・兼任者は患者への倫理的配慮と全体の調整も重要な役割となる。

 パス担当専従・兼任者として活動する場合には、パスの運用・管理の担当者として活動時間を有効に活用し、組織が進化・成長し質の高い医療を実現できることを目標とし努力していってもらいたいと考える。

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© 2013 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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