日本クリニカルパス学会誌
Online ISSN : 2436-1046
Print ISSN : 2187-6592
総説
Basic Outcome Master (BOM) version 3.0の改訂方針と意義
町田 二郎河村 進井内 郁代伊藤 淳二大石 智下村 裕見子岡本 泰岳佐藤 耕一郎嶋田 元白鳥 義宗舩田 千秋中島 直樹吉本 千鶴若田 好史岡峯 栄子小妻 幸男中熊 英貴西岡 智美森崎 真美堀田 春美副島 秀久
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2020 年 22 巻 1 号 p. 3-13

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抄録

 Basic Outcome Master(以下、BOM)version 3.0が刊行された。最大の特徴は一般社団法人医療情報システム開発センター;Medical Information System Development Center(以下、MEDIS-DC)看護実践用語標準マスター看護観察編(以下、看護マスター)やJapan Laboratory Code(以下、JLAC)version 10/11との紐付きが明確になり、BOM観察項目の標準化が格段に進んだことである。MEDIS-DC看護マスターと同等の構造化、表現タイプ(数値型、列挙型など)、結果値、結果も含め、すべて連動しているため、入力形式の精度が格段に高くなるだけでなく、バリアンス認識が曖昧でなくなるためクリーンなデータ収集が可能になる。この構造こそOutcome-Assessment-Task(以下、OAT)ユニットといわれる診療プロセスを電子的に表現する基本単位の概念を具現化する重要要素といえる。日めくり式クリニカルパス(以下、日めくり式パス)は24時間間隔のOATユニットの集合体であり、BOM version 3.0により構成される日めくり式パスのユーザーインターフェイスが改善され、観察項目が適性値外になった際の容易な識別機能や通知機能が付加されることで、安全管理ツールとしても機能する。用語マスターの電子的構造はアウトカム名称-観察項目名称=1:n、観察項目名称-看護ケア名称=1:1の関係になるよう配慮され、パスと看護記録の連携がよりスムースになる。BOM version 3.0を用いれば疾患や病態を問わない汎用的な基本OATユニットと、特定の疾患や病態の特異性に応じた最低基本要件としてのOATユニットという概念で構成される汎用日めくり式パスが作成可能であり、ビッグデータを集積することで複雑な疾患や病態の層別化に資するであろう。

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© 2020 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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