日本クリニカルパス学会誌
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学会報告(第6回学術集会) シンポジウム2 医療者が作成する医療用ソフトの現状と将来性
医療者が作成する医療用ソフトウェアの可能性と将来性
若宮 俊司
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2006 年 8 巻 2 号 p. 171-175

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抄録

 医療者が作成するソフトウェアは専門家の手によるものではないため、作成に使える時間、技術的な問題など、様々な点で限界がある。汎用データベースソフトを用いての作成はその点で作成が容易に行えるツールであるが、作成する内容により、何をツールとして用いるのかには向き不向きがある。汎用データベースソフトを用いた医療用ソフトの他に開発用言語を用いて筆者が作成・実用化したものの中から、紙ベースクリニカルパス管理システム、病院業務支援システム、職員健診システムの3つを紹介し、医療者が医療を行いながらでも、この程度までは作成できるということを示した。また、医療者が作成するソフトウェアはベンダーが開発するものとは異なる点が多いにもかかわらず、その意義はこれまでのところほとんど理解されていない。導入にかかる費用が安価であることは言うまでもない。重要なことは、それ自体が現場における有用なツールとなっているということ、コンテンツの変更に柔軟な対応ができるということ、作成したソフトウェアに含まれる業務フロー・医療知識が医療現場に含まれる情報を適切に抽出したものであるということである。将来的には医療用システム開発に当たって、医療者側からエンジニア側に意思を伝える「言葉」になる可能性がある。今後は医療者が作成するという意義を汲んだ発表の場が必要であり、また、もう少し医療用に特化した作成ツールが必要であろう。

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© 2006 一般社団法人日本クリニカルパス学会
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