2006 年 8 巻 2 号 p. 177-182
日常の診療現場で行われている各種文書作成、統計分析、データ管理などの業務はパーソナルコンピューター(PC)上で市販ソフトを用いて低予算で容易に省力化が可能である。特にファイルメーカーProは扱いやすいデータベースソフトであり、医師を筆頭に多くの医療者が様々な医療の現場で活用しており非常に重宝されている。
こうした医療現場での利用実態を反映して、各種の学会、研究会でもファイルメーカーProを用いた医療者自作システムの発表をよく目にする。第5回日本クリニカルパス学会学術集会においてもPCによるパス展示の企画に多数の施設から自慢の自作システムが集まり、さながら「ファイルメーカー達人展」の様相を呈した。さらに第6回の同学術集会において、「医療者が作成する医療用ソフトの現状と将来性」と銘打ったシンポジウムが行われ、筆者はその中で「多様性」をテーマにファイルメーカーProを中心とする市販ソフトで作成された医療者自作システムの紹介を行った。その内訳は、スタンドアローン型の便利グッズ的なものから、サーバクライアント型でオーダリングシステムに近い、プロのベンダーのシステムにも引けを取らないものまで種々多様であった。
今回、ファイルメーカーProを中心とする医療者自作の診療支援システムの利点を紹介し、大手ベンダーによる既成システム中心の医療界の電子化に一石を投じたいと考える。