日本障害者歯科学会雑誌
Online ISSN : 2188-9708
Print ISSN : 0913-1663
ISSN-L : 0913-1663
症例報告
摂食嚥下障害を伴う脳性麻痺患者の全身麻酔下歯科治療翌日に発症した誤嚥性肺炎の1例
河井 真理野上 朋幸倉田 眞治鮎瀬 てるみ切石 健輔吉田 治志長田 豊鮎瀬 卓郎
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 36 巻 2 号 p. 124-129

詳細
抄録
摂食・嚥下障害のある脳性麻痺患者の全身麻酔下歯科治療周術期に誤嚥性肺炎を発症した症例を経験したので報告する.患者は20歳男性.脳性麻痺(アテトーゼ型).摂食・嚥下障害があったが,経口摂取を行っていた.咽頭部は常時分泌物貯留状態で,月に2~3回熱発し, 3回誤嚥性肺炎のため入院歴があった.治療の日程も熱発などにより5回延期となった.術当日は,咽頭部に分泌物が貯留していたが全身状態は良好で,呼吸状態も落ち着いていた.術後は頻回の吸引が必要であり,呼吸音でrhonchiが聴取され一晩静脈栄養とした.翌朝,経口摂取を開始したところ熱発があり,血液検査で白血球数と炎症反応の上昇を認めた.小児科医師の診察で,肺野のラ音と分泌物の多さから誤嚥性肺炎による発熱と診断され,アンピシリン・スルバクタム点滴投与およびツロブテロールとカルボシステインの内服が開始された.また,自宅での栄養摂取法へ移行することを優先させ,絶飲食にはせず経口摂取は継続となった.翌日には解熱し,呼吸状態ならびに全身状態が安定したため,術後4日目に退院となった.本患者は,全身状態が最も良いと思われた時期に全身麻酔下治療を行ったにもかかわらず術後誤嚥性肺炎を併発してしまったが,小児科との連携のもと重篤化は避けられた.周術期の栄養管理は生命維持にとって不可欠である.機能障害を正確に評価したうえで適切な栄養摂取法を選択することが必要である.
著者関連情報
© 2015 一般社団法人 日本障害者歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top