日本障害者歯科学会雑誌
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臨床集計
当科における歯科恐怖症患者および異常絞扼反射患者の歯科実態調査(第1報)
髙野 知子小松 知子宮城 敦宮﨑 敬子勝畑 妙江子川瀬 清美新倉 啓太中小路 美緒熊坂 純雄杉田 武士有坂 博史池田 正一
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2018 年 39 巻 4 号 p. 432-437

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抄録

歯科治療時において過度な恐怖心をもつ歯科恐怖症(Dental Phobia:DP)や強い絞扼反射をもつ異常絞扼反射(Gag Reflex:GR)はその病態から歯科治療に苦慮することが多い.これらを有する患者の歯科治療を行うにあたっては患者の心理的要因を考慮し,さまざまな行動調整法が用いられているが,実際には治療途中で来院が途絶え,さらに口腔内状況が悪化していくケースが少なくない.今回,当科を受診したDP患者,GR患者の心理的要因,初診時口腔内所見などについての実態調査を行い以下の結論を得た.

1.DP患者の心理的要因として最も多いのは「痛みに対する恐怖心(53.6%)」,DP+GR患者では「診療時の絞扼反射の誘発に対する恐怖心(92.0%)」で,いずれも形成要因として過去の不快経験が挙げられた.一方,GR患者の心理的要因はすべての者が不明であった.

2.DP患者およびGR患者の平均DMFTを厚生労働省歯科疾患実態調査の結果と比較した結果,DP,GR患者のほうが高く,特に未処置歯数は70歳代を除くすべての年代で有意に多く認められ,口腔内環境が悪化していることが示唆された.

3.両群ともに中断することなくすべての治療を終えることができた者が全体の約7割を占めたのに対し,治療後に定期管理に移行した者は4割に満たなかった.

DPやGRの患者に対し,治療のみで歯科診療を終えるのではなく,継続して定期管理を行い,脱感作を図りながら心理的要因の除去,緩和と口腔内環境の維持,向上を目指すことが必要であると考える.

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© 2018 一般社団法人 日本障害者歯科学会
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